2003 Fiscal Year Annual Research Report
非線形確率力学系へのリー群論的アプローチとその応用
Project/Area Number |
14540133
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
三澤 哲也 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (10190620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 佳明 名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 教授 (50106259)
清水 昭信 名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 教授 (10015547)
宮原 孝夫 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20106256)
能登原 盛弘 名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 助教授 (30347421)
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Keywords | Composition methods / 計算機統計数理 / 数理ファイナンス / レヴィ過程 / ポアソンランダム測度 / Structured coalescent process / Genealogy / 非線形楕円型方程式 |
Research Abstract |
本研究課題は、不確定要因を含む非線形力学系である「非線形確率力学系」において、その保存量や対称性あるいは「composition methods(合成法)」近似といった、系の力学構造や数値的近似法に関連した話題にリー代数やリー群論的なアプローチから迫り、計算機処理をも意識した新しい分析手法を開発すること、またそれを関連諸分野へ応用することを目的としている。本年度は、本研究課題の展開可能性を探るべく、確率系の計算機処理技術とその応用に重点を置き、基礎理論と関連分野における調査研究を進めた。代表者・三澤哲也は、ハミルトン構造を有する確率系に対し、系のシンプレクティック構造を数値的に再現しうる数値スキームを、リー代数を応用した合成近似法を通じて定式化する研究を行った。またマルコフ連鎖で記述される確率系の推移確率行列がリー代数構造の生成と深くかかわる事から、マルコフ連鎖系の統計学的諸問題への応用研究に着目し、その一環として時系列データの平滑化アルゴリズムの定式化、地方財政や電力需要価格の時系列データにたいする計算機統計処理の問題にも取り組んだ。宮原孝夫は、確率系と深く関わる数理ファイナンスの分野において、幾何レヴィ過程と相対エントロピーに基づくオプション価格の理論モデル[GLP & MEMM]の構築を目指す研究を行った。清水昭信は、確率系の応用分野である「集団遺伝学」分野において、集団サイズが有限マルコフ連鎖にしたがって偶然的に変動する遺伝モデルの有効個体数問題やポアソンランダム測度の集団遺伝学への応用問題研究を行った。同じく能登原盛弘は、生物の地理的構造を考慮に入れた遺伝子系図のマルコフ連鎖過程モデルの解析的、および計算機援用的研究を行った。橋本佳明は、非線形楕円型方程式の解の解析性をフリードマンや加藤の方法、Faa di Brunoの公式を用いた方法で証明し、関連する関数解析的な応用問題についても詳細に調べた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.Mori, T.Misawa: "Analysis of Time Series Data by Smooth Fitting with Meyer Wavelets"Discussion Papers in Economics, Nagoya City University. 344. 1-27 (2003)
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[Publications] 宮内 肇, 竜口 玄太, 三澤 哲也: "カリフォルニア電力市場価格の回帰分析"電気学会論文誌B. 124-B. 199-206 (2004)
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[Publications] T.Fujiwara, Y.Miyahara: "The Minimal Entropy Martingale Measures for Geometric Levy Processes"Finance and Stochastics. 7. 509-531 (2003)
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[Publications] Y.Miyahara: "A Note on Esscher Transformed Martingale Measures for Geometric Levy Processes"Discussion Papers in Economics, Nagoya City University. 379. 1-14 (2004)
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[Publications] A.Sano, A.Shimizu, N.Iizuka: "Coalescent process with fluctuating population size and its effective size"Theoretical Population Biology. 65. 39-48 (2004)
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[Publications] 清水 昭信: "Poissonランダム測度と集団遺伝学"Graduate School of Natural Sciences, Nagoya City University, Annual Rewiew 2002. 7. 29-48 (2003)
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[Publications] 宮原 孝夫: "株価モデルとレヴィ過程"朝倉書店. 118 (2003)