2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540194
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
藤原 英徳 近畿大学, 九州工学部, 教授 (50108643)
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Keywords | 巾零リー群 / 可解リー群 / ユニタリ表現 / 既約分解 / 軌道の方法 / 重複度 / 不変微分作用素 / 表現の制限 |
Research Abstract |
平成11年〜平成13年に科学研究費補助金(基盤(C)(2))の交付を受けた課題研究「可解リー群の単項表現」において、フランスの共同研究者達とともに巾零リー群の単項表現とそれに随伴する不変微分作用素環の構造を軌道の方法の枠組みを用いて詳しく調べ、いわゆる可換性予想を証明することができた。また、同じく単項表現に対してFrobeniusの相互律の超関数版も証明したが、Corwin-Greenleafの多項式予想は依然として未解決である。 他方、表現の誘導と制限の間には強い双対性・類似性が成り立つことは広く知られている。にもかかわらず、表現の制限については誘導表現ほど研究されていない。そこでチュニジアの共同研究者Ali Baklouti氏と、巾零リー群Gの既約ユニタリ表現πの連結閉部分群Kへの制限について可換性予想を定式化しこれを証明した。更に超関数版のFrobeniusの相互律および多項式予想をも巾零リー群の連結閉部分群への制限について考察するため、彼との共同研究を進めた。その結果この枠組みにおいてもπに対応するGの余随伴軌道Ω(π)の各点においてFrobeniusベクトルが定義され、表現の部分群への制限の既約分解が有限重複度をもつとき、これらのベクトルが不変微分作用素の同時固有超関数となり、固有値としてΩ(π)上のK不変有理関数が得られるであろうと思われた。 フランス・メッス大学の共同研究者Jean Ludwig教授も参加してこの研究計画を遂行するため、彼が筆者を1ヵ月メッス大学に招聘(旅費はこの科学研究補助金より支出)、また筆者も彼をこの科学研究補助金により九州工学部に短期招聘して共同研究を遂行した。その結果表現の制限に対しても超関数版のFrobeniusの相互律が証明できたと思われる。現在最終チェックを行っている。ただ、残念ながら多項式予想については定式化はできるものの、その証明には単項表現の場合と同様の困難が存在し、それを克服するに至っていない。
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