2004 Fiscal Year Annual Research Report
多次元半空間における粘性気体方程式の時間大域解の漸近挙動について
Project/Area Number |
14540200
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西畑 伸也 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教授 (80279299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 健二 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (60141876)
井口 達雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (20294879)
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Keywords | 粘性保存則 / 漸近安定性 / 圧縮性ナビエストークス方程式 / 非線形波動 / 衝撃波 / 進行波 / 希薄波 / 境界層 |
Research Abstract |
本研究課題は、空間多次元上での粘性気体のモデル方程式(粘性保存則)に対する、非線形波の漸近挙動の解析を目的としている。平成14年度に行った研究によって、多次元半空間上の粘性保存則に対し、境界条件と無限遠方での条件との関係に依存して、解の漸近挙動は、希薄波、定常波、及びそれらの重ね合わせ波に分類される事が判明した。また、その各々のケースに対して、初期摂動の属する関数空間に依存する詳細な漸近レートを得ている。この単独方程式に対する結果をより物理的に意味のある方程式系に拡張する事を目標としていた平成15年度以降の研究では、まず空間多次元上での圧縮性ナビエーストークス方程式の球対称解の外部問題に対して次の結果を得た。空間次元が2以上の等エントロピー流に対して、外力項を持つ方程式系は非有界領域上で時間大域解を持ち、それは対応する定常解に収束する(この結果は既に論文として発表されている)。さらに、空間次元が3以上ならば熱伝導を含む方程式系に対しても同様な結果が成立する事が、最近の研究で判明した(この結果は現在投稿中である)。その後平成16年度に行った研究によって、粘性保存則に対する結果を圧縮性ナビエストークス方程式に拡張する事にも成功した。具体的な定理としては、空間一次元半空間上での定常解への漸近の速さを得ている。この研究では、まず等エントロピー流に対して漸近の速さを求めたが、さらにその後、熱伝導を考慮に入れた一般的な方程式系に対しても同様の結果を示した。以上の定理では、無限遠方において、前者では超音速と亜音速、後者では超音速である事を仮定している。これらは、二本の論文として現在執筆中である。なお、本研究課題は本年度が最終年度となるが、平成16年度に得られた結果を空間次元に拡張するべく、現在も継続して研究中である事を付記しておく。
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Research Products
(5 results)