2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540210
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
桑原 類史 徳島大学, 総合科学部, 教授 (90127077)
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Keywords | スペクトル幾何学 / ゲージ場 / 量子化条件 / 半古典近似 |
Research Abstract |
本研究課題による研究計画は本年度で終了することになっている。昨年度までの研究を踏まえ,今年度は,以下の課題を設定した。 (1)昨年度の研究テーマであった「エルミート型フーリエ積分作用素の理論の整備」を目指し,今年度も継続研究を行い,更に,力学系の古典-量子対応の具体的問題に応用する。 (2)従来研究してきた磁場における力学系をより一般化し,ゲージ場における力学系の古典-量子対応問題を考察する。 (3)多様体上の幾何,力学構造の離散版であるグラフ上の幾何,力学系について,対応する問題を考察する。 これらのうち,(1)については,Boutet de Monvel, Guillemin著「The Spectral Theory of Toeplitz Operators」をもとに,より具体的なシンボル計算およびその基本的性質について考察した。この結果の応用は今後の課題である。 (2)については,今年度最も重点的に研究した課題であり,可換構造群(磁場)の場合の研究成果の拡張を目指した。一般のコンパクト群を構造群とする主ファイバー束上の接続が与えられたときの古典及び量子力学系の定式化(Guillemin,Uribe,Zelditch達)の見直しを行い,可換群U(1)の場合の量子-古典対応の諸結果を拡張した。すなわち,古典系におけるMaslov量子化条件と対応するエネルギー分布の関係,古典周期軌道の存在と対応するエネルギー分布の漸近的性質を考察した。この結果に関する論文を準備中である。 (3)については,オリジナルな研究に取りかかる準備として,文献,研究会等で既存の成果の収集を行った。特に磁場付き力学系の離散系を重点に今後継続研究したい。
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