2002 Fiscal Year Annual Research Report
スターバースト銀河における中間質量ブラックホールの形成
Project/Area Number |
14540225
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池内 了 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90025461)
|
Keywords | スターバースト / ブラックホール / 巨大銀河風 / 高光度X線源 / チムニー構造 / 分子雲 / 活動的銀河核 / 電波輝線 |
Research Abstract |
スターバースト銀河のX線観測から、大きく広がった分子雲の中心部付近で、時間変動が速く、硬X線成分が強く、X線光度が異常に高い点源が多数発見されている。X線光度をエディントン光度と仮定すると、太陽質量の500倍と推定され、中間質量のブラックホール(IMBH)が存在していると考えられる。これを説明するモデルとして、(a)星密度の高い星団形成後のスターバースト現象、(b)進化を終えたレムナント(中性子星や恒星型ブラックホール)の重力相互作用によるIMBHの形成を提案した。さらに、(c)IMBH間の重力相互作用に中心核への落ち込みと大質量ブラックホール(SMBH)が形成されて、クェーサーや活動的銀河核に至るというシナリオを考えている。本年度は、(a)の段階についてスターバースト銀河M82を想定し、分子雲中での高密度星団の形成から連鎖的な超新星爆発過程を詳細に調べた。M82においては、電波輝線の観測によって数個のチムニー構造が同定されており、多数の星団が独立してスターバーストを起こしていると推定される。さらに、スターバーストに起因する複数のスーパーバブルが合体して大規模銀河風(スーパーウィンド)を引き起こしていることもわかってきた。そこで、これまでは1つの巨大スターバーストのみを考えてきたモデルを修正し、銀河核周辺に生まれた高密度星団を10個配置し、各々で小型のスターバーストを開始してチムニー構造へと発展するとともに、やがてそれらが合体して巨大アウトフローとなる過程を調べている。これによって、M82における複数のX線源やチムニー構造とともに銀河風の共存状態を再現することができる。今年度は、これらのモデル修正を行っていたので論文としての成果はない。
|
Research Products
(1 results)