2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540230
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
三好 蕃 京都産業大学, 理学部, 教授 (90065855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 哲也 京都産業大学, 理学部, 教授 (00121541)
田原 譲 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10135296)
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Keywords | 銀河団 / ハッブル定数 / X線表面輝度分布 / ダークマター / スニヤエフ・ゼルドビッチ効果 / 天体プラズマ / 等温ベータモデル / 重力レンズ効果 |
Research Abstract |
本年度の主たる研究目標の「銀河団ガスの質量分布について、等温βモデルに代る新しいモデルを確立する」ことに成功した。まず等温βモデルが何故現実の銀河団ガスの分布に合わないことが多い(特に銀河団中心領域)のかを詳しく分析してその原因をつきとめ、それを排除して新しい銀河団ガスの分布関数を構築することに成功した。途中で強引な近似計算をすることもなく、数学的に厳密な理論展開をしているため、この新しいモデルが持つ3つのパラメータは全て明確な物理的意味をもち、観測との比較もより実質的なものとなる。この新しいモデルを観測結果にどの程度合わせることができるかを調べるために、A383、A2163、A2390の3つの銀河団について詳しく調べた。これらの銀河団はいずれもX線表面輝度分布の詳細マップに加えて、重力レンズ効果の観測データもあって、質量分布が現時点で最も正確に求まるという理由で選んだ。ベストフィットのパラメータ値を代入して得られた理論曲線は、いずれの銀河団についても観測結果と非常に良い一致を示している。等温βモデルを用いた場合、X線データから求めた銀河団質量と重力レンズ効果から求めた銀河団質量の間に約2倍の違いがあったが、この新しいモデルの導入により、そうした困難も解消した(近く論文投稿の予定)。 次に、銀河団に含まれるダークマターの正体に迫る第一段階として、衝突のないフェルミ粒子からなる自己重力系の準縮退平衡状態について詳しく調べ、観測から得られた質量分布と比較した。その結果、ホットダークマターとコールドダークマターが混在する場合、両者の質量分布は全体的に互いによく似た形となり、例えばコールドダークマターが銀河団の中心領域に集中してホットダークマターがその周りにハローを形成するような形になっていないことをつきとめた(これも近く論文投稿の予定)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 中井三留, 瀬川重男: "被覆面の型"数理解析研究所講究録. 1277. 84-93 (2002)
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[Publications] Masaharu Nishio, Katsunori Shimomura: "A characterization of caloric morphisms between manifolds"Ann.Acad.Sci.Fenn.Math.. (to appear).