2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540230
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
三好 蕃 京都産業大学, 理学部, 教授 (90065855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 譲 名古屋大学, エコトピア科学研究機構, 教授 (10135296)
原 哲也 京都産業大学, 理学部, 教授 (00121541)
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Keywords | 銀河団 / 高温プラズマ / スニヤエフ・ゼルドビッチ効果 / ハッブル定数 / ダークマター(暗黒物質) / 密度ゆらぎ / 重力レンズ効果 |
Research Abstract |
ハッブル定数H_0の測定については、以前から取り組んでいた5個(0.143≦z≦0.282)の銀河団のX線観測データおよび電波観測データの解析が終り、その論文が2005年2月MNRASに掲載された。この5個の銀河団は幾何学的構造について特に制約のないサンプルであり、電波観測データの解析にあたっては点源からの寄与を極力排除したため系統誤差は小さくなっている。これら5個の銀河団について得られたハッブル定数の平均値はΩ_M=0.3,Ω_Λ=0.7の平坦宇宙についてH_0=66+11/-10(+9/-8)km/sec/Mpcである(括弧内は系統誤差)。この66という値は同様の方法で他の研究グループによって得られたH_0の値と大差ないが、誤差は最も小さい。現時点では我々は銀河団の奥行き情報を得る手段を持たないため、我々が使ったスニヤエフ・ゼルドビッチ(SZ)効果の観測からハッブル定数を求める方法では、上記誤差(特に系統誤差)はほぼ限界に近いものと思われる。そして、我々の結果はWMAPによる宇宙マイクロ波背景放射(CMBR)の揺らぎの観測から求められた値H_0=71±2km/sec/Mpcに比べて少し小さめではあるが誤差の範囲内で一致している。なお、SZ効果の観測データは今後銀河団の奥行き情報やその周辺環境の情報などを得るために用いるべきものと考える。 銀河団の構造解析に関しては、XMM-Newton衛星によって取得されたA2029銀河団のX線観測データの解析を通して現在精力的に研究を進めており、既に興味深い結果がいくつか得られている。その研究成果の一部は第35回COSPAR Scientific Assembly(2004年7月、パリ)や日本天文学会で発表済みである。
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Research Products
(2 results)