2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14540237
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江澤 潤一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90133925)
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Keywords | 非可換幾何学 / 非可換ソリトン / 量子ホール効果 / スカーミオン / 量子コヒーレンス / 複合ボソン / 複合フェルミオン / 分数統計 |
Research Abstract |
低次元空間にはその特有の位相構造に起因する特異な物理現象が存在する.特に興味深いのは量子ホール系である.量子ホール系は最低ランダウ準位に束縛された電子の作る世界であるが,この電子のx座標とy座標は交換しない,という著しい特徴を持つ.この非可換性に起因する数学的構造と物理現象を解析した.先ず,内部対称性を導入して,量子ホール系の対称群W_∞を拡大し,私はこれをW_∞(N)と命名した.この内部対称性はスピンや2層平面の自由度として実現しているので重要である.適当な条件下に2層量子ホール系はW_∞(4)を対称群として持つ.次に,非可換幾何学上の演算子を定義し,クーロン相互作用する非可換電子を支配する有効ハミルトニアンを求めた.低エネルギー極限で,SU(N)非線形シグマ模型に帰着するが,その係数(stiffness)を初めて代数的に導出した.この値は別の方法で既に求められている結果と一致するが,私の代数的方法が優れているのは系統的に高次展開を行える点にある.さて,ランダウ準位は内部対称性のためにN個の準位に別れる.この内,k個の準位が埋まっている量子ホール状態はグラスマン多様体G_<N,K>で記述されることを指摘した.有効ハミルトニアンはグラスマン非線形シグマ模型である.ここには位相的ソリトンが存在する.この帰結として,2層量子ホール系の占有率ν=2における位相的ソリトンは,グラスマンG_<4,2>スカーミオンである.物理的には二層で2つのCP^3スカーミオンが対生成されている励起である.グラスマン・ソリトンが実際の物理現象に現れることを示したのは私の研究が世界で最初である.二層量子ホール系での準粒子励起検証実験は,共同研究者(熊田等)がNTTで製作された試料を用いて行った.私の理論はこの実験結果を見事に説明する.研究成果は国際会議(Hawai, Dec. 1-5)で発表し,4編の原著論文として国際的著名誌に発表した.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] N.Kumada: "Phase diagram of interacting composite fermions in the bilayer ν=2/3 quantum Hall effect"Phys. Rev. Lett.. 89. 116802-116806 (2002)
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[Publications] K.Hasebe: "Doubly enhanced excitations in bilayer quantum Hall system at ν=2"Phys. Rev. B. 66. 155318-155330 (2002)
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[Publications] A.Sawada: "Continuous transformation from spin-to pseudospin-type excitation"Physica E. (印刷中). (2003)
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[Publications] Z.F.Ezawa: "Noncommutative Geometry, Extended W_∞ Algebra and Grassmannian Solitons in Multicomponent Quantum Hall Systems"Phys. Rev. B. (印刷中). (2003)