2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540237
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
江澤 潤一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90133925)
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Keywords | 非可換幾何学 / 非可換ソリトン / 量子ホール効果 / W(∞)代数 / 量子コヒーレンス / 複合ボソン / 複合フェルミオン / スカーミオン |
Research Abstract |
非可換幾何学の支配する唯一の観測可能な物理現象は量子ホール効果である.量子ホール系は最低ランダウ準位に束縛された電子の作る世界であるが,この電子のx座標とy座標は交換しない,という著しい特徴を持つ.その結果,電子が内部対称性SU(N)を持つ場合,量子ホール系の対称性はW_∞をSU(N)拡大したW_∞(N)で与えられる. この観点から量子ホール系の量子場理論を構成した.更に量子場の期待値をとることにより,古典場理論を解析した.本年度は特に非可換ソリトンの研究を行った.これは古典的には位相的ソリトンと見なせる.従来,位相的ソリトンは古典的励起としてのみ知られていた.本研究の最初の成果は,空孔励起のW_∞(N)回転として非可換ソリトンの量子力学的状態を求めたことである.また,非可換ソリトンの位相的荷電密度と実際の電荷密度との間に厳密な関係式を導いた. 次に,非可換ソリトンの励起エネルギーを解析した.ハミルトニアンとして接触型を仮定したときには,非可換ソリトン状態は固有状態になり,励起エネルギーも厳密に求められる.一方,物理的なクーロン相互作用ハミルトニアンに対しては,近似解を求め,励起エネルギーを近似的に計算した.励起エネルギーの外部磁場依存性を実験結果と比較して,本研究で得られた成果の正当性を検証した. 更に,本研究と関連する量子ホール系の実験結果の理論的解析も行った.これらの研究成果は6編の原著論文として国際的著名誌に発表した.本年は本研究の最終年度にあたる.論文リストに挙げた"Topological Solitons in Noncommutative Plane and Quantum Hall Skyrmions"(Z.F.Ezawa and G.Tsitsishvili) Phys.Rev.D72(2005)85002は本研究の集大成である.
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Research Products
(6 results)