2002 Fiscal Year Annual Research Report
軽いエキゾチック原子核の構造と反応における多粒子相関の研究
Project/Area Number |
14540249
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 宜之 新潟大学, 理学部, 教授 (70018670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根村 英克 高エネルギー加速器機構, 理論部, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | エキゾチック原子核 / ラムダハイパー核 / α凝縮 / ハロー核 / グラウバー理論 / モンテカルロ法 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画としそ掲げたものにういて、以下の進展があった。 1.A=3-5のΛハイパー核の結合エネルギーに関する長年の課題を、現在利用しうる現実的な相互作用を用いて分析した。Λ粒子がΣ粒子に転換する、あるいはΛ粒子とΣ粒子が結合する効果を直接考慮し、かつ強い相互作用におけるテンソル力の重要性を生かせるように波動関数を柔軟に選んだ計算を行った。A=5の系に対するこのような第一原理的計算は初めてのものであり、いわゆるoverbinding問題を解決しうるポテンシャルとそうでないものとを区別できたという結果からも注目度は高く、Phys.Rev.Lett.の論文に発表されたことがそれを示している。 2.α粒子系は凝縮状態をもつという予想を検討するために、α粒子は構造をもたない粒子であるとして高精度の変分計算を3-4α粒子系に対して行った。閾値近傍に空間的に大きく広がった状態が得られたので、密度行列を利用して凝縮の程度を定量的に評価した。s軌道に凝縮している割合は30-40%程度という結果を得た。 3.少数系では現実的核力を用いた計算が出来るようになり、短距離相関や高い運動量、角運動量成分を含んだ波動関数が得られている。これらの波動関数をテストするために、中高エネルギーの核反応の反応断面積や弾性散乱の角分布をグラウバー理論を用いて分析した。種々の相関を含まない簡単な波動関数を用いた分析と比較することにより、グラウバー理論の有効性とともに現実的波動関数の特徴を明確に示すことが出来た。この分析では、グラウバー理論に現れる多重散乱項の評価にモンテカルロ積分を用いたが、その威力を初めて示すことが出来たのもこの研究の重要な貢献である。 4.芯核と1核子からなるハロー原子核の弾性散乱や分解反応の運動量分布などを計算する汎用計算プログラムを開発した。ハロー核の実験データの解析に有用であることを多様な反応の分析で示した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] B.Abu-Ibrahim: "Calculation of nucleus-nucleus cross sections at intermediate energies using Glauber theory"Nuclear Physics A. 706. 111-122 (2002)
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[Publications] Y.Suzuki: "Cluster correlations clustering and halo structure"Nuclear Physics A. 706. 123-139 (2002)
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[Publications] Y.Suzuki: "Alpha cluster condensation in ^<12>C and ^<16>O?"Physical Review C. 65. 064318-1-064318-8 (2002)
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[Publications] H.Nemura: "Ab initio approach to s-shell hypernuclei ^3_ΛH, ^4_ΛH, ^4_ΛHe and ^5_ΛHe with a ΛN-ΣN intercation"Physical review Letters. 89. 142504-1-142504-4 (2002)
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[Publications] K.Varga: "Monte Carlo integration in Glauber model analysis of reactions of halo nuclei"Physical Review C. 66. 034611-1-034611-8 (2002)
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[Publications] B.Abu-Ibrahim: "Cross section calculations in Glauber model : I. Core plus one-nucleon case"Computer Physics Communications. 151. 369-386 (2003)
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[Publications] Y.Suzuki: "Structure and reactions of light exotic nuclei"Tayler and Francis. 591 (2003)