2005 Fiscal Year Annual Research Report
軽いエキゾチック原子核の構造と反応における多粒子相関の研究
Project/Area Number |
14540249
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 宜之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70018670)
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Keywords | 16C / 炭素アイソトープ / 反応断面積 / グラウバー模型 / 直行条件模型 / パウリ禁止状態 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画について、以下のような研究結果を得た。 1.16Cの励起状態から基底状態への電気四重極遷移確率が非常に小さいという実験結果を理解するために、昨年度16Cは14C芯核の周りに2中性子が運動するという描像で基本的に理解されることを示した。本年度は、この研究を幾つかの点で精密化した。まず、2中性子間には中心力のほかに非中心力も作用するとし、現実的核力を用いた。これに対応して、2中性子のスピンはシングレット状態のほかに、トリプレット状態も許されるとして、模型空間を拡大した。さらに、14C芯核と中性子間のポテンシャルを幾つか妥当な範囲で変えて、結果に対する依存性を検討した。基底状態だけでなく、幾つかのスピンパリティをもった励起状態がほぼ実験データと対応するところに得られた。トリプレット状態の混合は大きくないが電気四重極遷移確率を小さくするように作用することを確認したが、依然として実験値の2倍程度の遷移確率になった。 2.炭素アイソトープの反応断面積(相互作用断面積)のデータから、どの程度それらの原子核の大きさが決まるのかの検討を始めた。そのために12C-12Cの反応断面積の実験データを、12C密度とグラウバー理論から矛盾なく再現することを行った。次に炭素アイソトープの密度を、核子の分離エネルギーデータを再現するポテンシャルから決めて現在解析を進めている。また、密度とポテンシャルの間に自己矛盾性を課した分析を実行している。 3.フェルミオンからなる複合粒子間にはパウリ原理に起因する禁止状態がありうる。これの役割は微妙であり、扱いの仕方により非現実的な結果になることがある。3αからなる12C原子核について直交条件模型で検討しており、その理由をほぼ明らかにすることができた。
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Research Products
(3 results)