2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14540254
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川合 光 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80211176)
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Keywords | 弦理論 / 行列模型 / 量子重力 / 素粒子の統一理論 / 構成的定式化 / 非摂動効果 / 超対称性 / 素粒子物理学 |
Research Abstract |
当研究は、弦理論を構成的に定義することによって、例えば格子ゲージ理論におけるように、いろいろな物理量が少なくとも原理的には可能な数値計算によって求まるようし、重力まで含めた究極の統一模型を構築することを目的とする。 当研究代表者は、このような観点から弦理論の非摂動的な定式化と、それから得られる量子重力の基本的な性質についての研究を進めてきた。実際、当研究代表者は、1996年からはじめた一連の研究によって、10次元の超対称ゲージ理論のlarge-N reduced modelが、実は、臨界弦の構成的な定義になっていることを示し、その力学的な構造を調べてきた。この理論は、IIB行列模型と呼ばれているが、自然な形で重力子を含むなど、弦理論の非摂動的な定義にふさわしい、いろいろな良い性質を持っている。また、このモデルは、時空自身をはじめとし、ゲージ群や世代の数などがすべてダイナミカルに生成されるという特徴を持っており、究極の統一模型にふさわしい性質を備えている。しかしながら、IIB行列模型には、一般座標変換に対する不変性があまり見通し良くないなどの弱点もある。現段階のIIB行列模型は、一応、弦理論の非摂動的な定義にはなっているが、もっと本質的で単純な理論が背後にあるのではないかと思われる。 今年度は、次の2つのことを中心に考察を進めた。ひとつは、IIBマトリックス模型は一応、弦理論の非摂動的な定式化になっているのであるから、とにかく、数値的、あるいは解析的な手法によってこれを解いてしまおうという試みである。この場合、行列の固有値の分布を調べることによって、時空が力学的に生成される様子がわかり、さらにそのまわりでの励起を調べることによって、ゲージ群や世代の数も原理的には、わかるはずである。 この方向での解析的な分析を、非可換幾何学との関連など、いろいろな角度から進めた。もうひとつの試みは、IIB行列模型よりももっと基本的な理論、例えば、一般座標変換に対する不変性を明白にもつような行列模型を探すことである。これと関連して、最近DijjkgraafとVafaによって発見された一見深遠な超対称ゲージ理論と行列模型の関係が、IIB行列模型の基礎であるlarge-N reductionに他ならないことがわかった。 弦理論を構成的に定義することによって、実際の真空を定め、時空の次元をはじめ、ゲージ対称性、世代数などを説明して見せることが、そろそろ可能になってきているように思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hikaru Kawai, Tsunehide Kuroki, Takeshi Morita: "SUPERSYMMEYRIC LARGE N REDUCED MODEL WITH MULTIPLE MATTER"Nucl.Phys.. B683. 27-47 (2004)
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[Publications] Hikaru Kawai, Tsunehide Kuroki, Takeshi Morita: "DIJKGRAAF-VAFA THEORY AS LARGE N REDUCTION"Nucl.Phys.. B664. 185-212 (2003)
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[Publications] H.Kawai, S.Kawamoto, T.Kuroki, S.Shinohara: "IMPROVED PERTURBATION THEORY AND FOUR-DIMENSIONAL SPACE TIME IN IIB MATRIX MODEL"Prog.Theor.Phys.. 109. 115-132 (2003)