2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540256
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小林 達夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60322153)
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Keywords | 湯川結合 / 超対称性の破れ / FCNC / 余剰次元 |
Research Abstract |
Quark, Leptonの質量や混合角の起源を探ることは、素粒子論の中で重要な課題の1つです。また、超対称模型の枠組みでは、現実的な湯川行列を生み出す機構は、超対称性の破れの項への影響を考えながら議論すべきです。更に、超対称性の破れの項については、フレーバー間の縮退度に関して大きな実験的制限があります。 今年度は、上述のようなことを踏まえ、縮退したsfermionの質量を導きつつ湯川結合の階層構造を与えるような模型を研究しました。まず世代間にS_3 discrete symmetryを課すような模型を調べました。このような対称性を課す模型はこれまで提案されてきましたが、我々の模型の新しい点はHiggsセクターにもこの対称性を課せるようにHiggsセクターを拡張した点で、そのため、超対称性の破れの項もこのような対称性をもつと仮定でき、この対称性が超対称粒子からのFCNCへの効果を実験の制限程度に下げることに役立ちます。 また、別の模型としては、Randall-Sundrumのような余剰次元がwarp背景幾何上の模型で、そのような5次元AdS時空上での超対称性の破れを研究しました。この模型では、湯川結合の階層構造の生成に役立つのは、5次元bulk massによる、bulk場の局在化です。更に、主にラディオンにより超対称性の破れが起る場合には、フレーバー問題も改善されることが分かりました。 このような場の理論的な模型だけでなく、弦理論の枠内で湯川結合の計算をしました。特に、興味があるのはorbifold模型です。なぜなら、階層的な湯川結合が導けることが知られているからです。これまで代表的なmoduliへの依存性は分かっていましたが、今回我々は様々なmoduliへの依存性を計算しました。我々の結果の中で、現象論的に重要なことの1つは、湯川結合での物理的なCPの破れに関しては、ある特定のmoduliしか関与しないことを示した点です。
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[Publications] T.Kobayashi: "Exact S_3 symmetry solving the supersymmetric flavor problem"Phys.Lett.. B568. 83-91 (2003)
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[Publications] T.Kobayashi: "Heterotic Yukawa couplings and continuous Wilson lines"Phys.Lett.. B566. 164-170 (2003)
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[Publications] T.Kobayashi: "Heterotic string backgrounds and CP violation"Phys.Lett.. B565. 183-200 (2003)
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[Publications] K.Choi: "Supersymmetry breaking in warped geometry"Euro.Phys.J.C. (発表予定).
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[Publications] T.Kobayashi: "Dilaton and moduli fields in D-term inflation"Phys.Rev.. D69. 023510 (2004)
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[Publications] T.Higaki: "Anomalous U(1) D-term contribution in type I string models"Phys.Rev.D. (発表予定).