2002 Fiscal Year Annual Research Report
高強度レーザー場を利用した汎用核スピン偏極法の提案および理論評価と最適化
Project/Area Number |
14540262
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中嶋 隆 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教授 (50281639)
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Keywords | 電子スピン偏極イオン / 光イオン化 / 偏極電子 |
Research Abstract |
中性原子から高スピン偏極電子が生成できるなら、イオン化によって電子が飛び去った後の残留イオン殻を同様に偏極させられないかという考えのもと、本年度は基底状態にある原子を光イオン化させた時に電子スピン偏極イオンが生成される可能性について、特にアルカリ土類金属原子Srにつき詳細に検討した。我々の提案するスキームの利点としては、光ポンピングを用いず、かつ、中性原子から多光子イオン化によってスピン偏極イオンを『直接』生成させるため、複雑な実験装置が不要であることである。実験的に実現可能な系であることを念頭に置き、Sr原子について具体的に2つのスキームを考えた。1つは1光子共鳴2光子イオン化、もう1つは1光子共鳴1光子イオン化によるスキームである。重要な点として、ともに5s5p^3p_1を1光子共鳴準位として導入していることがあげられる。これは、アルカリ土類金属原子の基底状態(1重項)からスタートしてレーザー励起(イオン化)によってスピンを5偏極させるには、3重項を励起することが不可欠であるからである。さて、2つのスキームのうち、前者は近共鳴準位として5ssd^3D_<1,2>を導入しており、これら2準位による干渉効果によって後者に比べ、より高偏極なイオンを生成できるのではないかと期待される。しかしながら、前者は3光子、後者は2光子とイオン化に必要な光子数が異なるため、前者のスキームによる生成イオン数は後者に比べ数桁少ないであろうことも容易に予想される。計算の結果、前者のスキームについては1段目のレーザー波長をうまく選択すれば>90%の高偏極イオンが得られることがわかった。後者のスキームについては、〜66%の偏極度のイオンを比較的簡単に生成できることがわかった
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Research Products
(1 results)