2004 Fiscal Year Annual Research Report
高強度レーザー場を利用した汎用核スピン偏極法の提案および理論評価と最適化
Project/Area Number |
14540262
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中嶋 隆 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教授 (50281639)
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Keywords | スピン偏極 / 自動電離共鳴 / 超短レーザーパルス / 偏極源 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、レーザーアブレーションによって発生したSr原子ガスに高強度レーザーを照射することにより約60%スピン偏極した光電子/光イオンを生成できることを理論的に示し、さらに実験的に確かめることができた。しかしながらこの手法を偏極源として応用するためには、偏極度および生成効率をさらに向上させる必要がある。そこで本年度は、イオン化レーザーに波長固定ではなく波長可変レーザーを使うことによって自動電離準位に共鳴させ、偏極度と生成効率を向上させることを目指した。実験検証を行った結果、共鳴効果によって約80%の偏極度と2桁もの生成効率向上を達成することができた。 また、新たな偏極法として、超短レーザーパルスを用いたスキームを考案し、理論的に評価した。その結果、ポンプパルスからしかるべき時間遅延の後、プローブパルスの波長を注意深く選ぶことによって、約70%の偏極度を持つ光電子や光イオンを生成できることを示した。また、別のプローブパルス波長では、ポンプパルスとプローブパルスの時間遅延を変えることによってスピン偏極の方向(符号)をも制御できることを理論的に発見した。ここまでの理論では、光強度は弱く原子の大多数は下位準位に存在していると仮定したが、実際問題として、偏極電子(イオン)の生成量はできるだけ多い方が望ましい。っまり、光強度が強く、飽和が起こっているときにも同様の結果が得られるかどうかが応用という観点からは重要である。我々は、摂動理論を超えた問題の定式化を試み、その式に基づいて計算を実施した。その結果、レーザー光強度が弱い時だけでなく、飽和が起こるくらいに光強度を増加させてもスピン偏極度は時間遅延に大きく依存することが確認できた。
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Research Products
(2 results)