2003 Fiscal Year Annual Research Report
ハドロン物質におけるカイラル相転移の前駆現象の総合的研究
Project/Area Number |
14540263
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
国広 悌二 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (20153314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
初田 哲男 東京大学, 理学研究科, 教授 (20192700)
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Keywords | Chiral Symmetry / Phase Transition / QCD / Soft mode / Precursor / カラー超伝導 / 疑ギャップ / シグマ中間子 |
Research Abstract |
A.カラー超伝導(CSC)前駆現象としての擬ギャップの形成: 臨界温度(T_c)よりも高温ではあるがT_c付近でのカラー超伝導の前駆現象の例としてクォークの状態密度がフェルミエネルギー付近で以上に減少する可能性を調べた。この現象はその原因は未解明であるが、高温超伝導現象で顕著に見られる「擬ギャップ」と言われるものと同一である。低エネルギー有効模型を用いた計算により、前駆的なソフトモードの存在により、確に「擬ギャップ」が生まれることを示した。これは、相対論的な物理系において、しかも、3次元系で「擬ギャップ」が生まれることを示した始めての研究である。この結果は、高温超伝導の「擬ギャップ」の原因究明の研究にも大きな示唆を与えるものと考えられる。 B.シグマ中間子の格子QCDを用いた研究: カイラル対称性の回復の前駆現象を研究するうえで、スカラー中間子、特に、シグマ中間子と呼ばれるハドロンの存在の有無、およびその性質は決定的な重要性を持つ。近年の解析の結果、実験的にパイ-パイ散乱の共鳴として低い質量(600MeV/c^2)のスカラー中間子の存在が確定してきたが、その本性は未解明である。我々は、クォークの量子的な励起の自由度を含めた格子QCDのシミュレーションを行い、比較的重いカレントクォーク質量の場合、ロー中間子と同程度の質量を持つスカラー中間子が存在し得ることを始めて示した。また、その存在のためにはq-q^^-の線形結合で表される「集団モード」あるいはダイクォークq^2-p^^-^02の相関が重要であることを示した。残念ながらどちらがより本質的であるかは今後のより詳細な研究に俟つしかない。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Teiji Kunihiro: "Lattice study of "f_o(600) or σ""Nucl.Phys.B-Proceedings Supplement. 119. 275-277 (2003)
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[Publications] M.Kitazawa: "Precursor of Color Superconductivity"Nucl.Phys.A. 721. 285C-288C (2003)
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[Publications] M.Kitazawa: "Effects of Vector Coupling on Chiral and Colar-Superconducting Phase Transitions"Nucl.Phys.A. 721. 289C-292C (2003)
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[Publications] T.Kunihiro: "Chiral Restoration and the Scalar and Vector Correlations in Hot and Dense Matter"Prog.Theor.Phys.Supplement. 149. 56-66 (2003)
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[Publications] K.Yokokawa: "Simultaneous Softening of σ and ρ Mesons associated with Chiral Restoration"Nucl.Phys.A. 721. 641C-644C (2003)