2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540281
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
前田 恵一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70199610)
|
Keywords | 相対論・重力波 / 素粒子物理 / 宇宙物理 / 理論天文学 / 高次元統一理論 / ブレイン宇宙論 |
Research Abstract |
近年,宇宙初期や重力理論に対する考え方を一新するような概念「ブレイン(brane)」が登場した。このブレインという概念は、従来のKaluza-Klein的コンパクト化とは大きく異なり、ブレインの存在により余分な次元のサイズを比較的大きくすることを可能にするため,その検証可能性を与えたことで一躍注目されている.宇宙初期にも大きな影響を与えると考えられ、多くの宇宙論・相対論研究者が新しい宇宙像を求め,いろいろな宇宙モデルをもとに研究を行っている.そのような状況で,このブレイン重力理論を基礎にした宇宙初期モデルおよびブラックホールや重力崩壊などの強重力現象を系統的に解析することは重要であり,本研究では,第一線で活躍する2人の研究者(D.Wands D.Langlois)とともに新しい宇宙像の構築を試みた。 まず,2つのブレイン衝突により初期宇宙シナリオを与えるブレイン宇宙モデル(エクピロティック宇宙や振動宇宙)について研究を行った。それらのモデルはインフレーションに代わる初期宇宙モデルとして、宇宙の一様性や地平線問題を解決するといわれているが,多くの部分はよくわかっていない.本研究ではブレインの衝突に伴う粒子生成を解析し、宇宙の再加熱機構について考察した。また,ブレインにおける物質の量子効果を考慮したDGPブレインモデルのブレイン上の4次元有効理論を導き,ダークエネルギー問題解明への第一歩となりうることを示した。さらに、バルクにヤン・ミルズ場がある場合の5次元静的球対称解を求め,宇宙初期特異点のない振動宇宙モデルを提案した.これらの研究成果は、ブレインシナリオが初期宇宙モデルとして望ましい性質を持っことを示し、今後さらにその研究を推し進めることの必要性を明らかにした。
|
Research Products
(22 results)