2003 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヘリウム中における放射性イオンの搬送と引き出し
Project/Area Number |
14540283
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Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 憲明 大阪学院大学, 流通科学部, 教授 (10028152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 正 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70135656)
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Keywords | 超流動ヘリウム / 不純物イオン / 放射線検出法 / スノーボール / 核偏極 / 正イオンの引き出し / 輸送現象 / 障壁ポテンシャル |
Research Abstract |
放射性イオンのスノーボールを用いて,原子核物理と凝縮体物理の両分野にまたがる物理を展開する本計画では,本年度は,超流動ヘリウム中の不純物イオンの搬送と液面からの高効率の引き出しを試みた.高効率を達成すべく,搬送と引き出し電場の検討を行った.以前,大阪大学で得られた20-30%におよぶスノーボール生成率を放射線源の金属泊に近い部分の電場を改良することで実現しようという試みである.重い放射性イオンとして,アルファ線源^<223>Raから反跳として出てくる^<219>Rnイオンを用いた.重いイオンは電子を多くもつため軽い正イオンにくらべ,超流動ヘリウムの液面からの引き出しが容易であると予測したためである.放射線検出法によって引き出しの確率を決定した.パルス的に第2音波を印加して,引き出し確率を上げることも改善を試みて,引き出し効率を上げる上で効果的である.各過程を,1)放出された高速イオンがスノーボールを創る確率,2)スノーボールとして超流動ヘリム中を輸送する効率,3)表面から取り出す確率,4)蒸気相を通過する確率に分け,それぞれを改善するが,とりわけ,1)に関して,放射線源付近の電場が小さいためか,この確率を改善する必要がある.表面からの引き出し効率は36%になる. 放射性核ビームの新しいプロジェクトが世界で発足しているが,その中でもドイツGSIでは,本計画に注目し高速放射性核を超流動ヘリウム中で停止させる事に注目している.そのための基礎実験として,前回の実験からの知見を利用して,クライオスタットの設計が軌道に乗っている. その他,放射核,偏極核およびスノーボールに関する研究を継続し,核偏極生成と核分光について新しい結果を得た.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] W.X.Huang, N.Takahashi,...: "Transport and extraction of radioactive ions stopped in superfluid helium"Nuclear Instruments and Methods B. B204. 592-596 (2003)
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[Publications] N.Takahashi et al.: "Production of zero energy radioactive beams through extraction across superfluid helium surface"Physica B. B329-333. 1596-1598 (2003)
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[Publications] W.X.Huang, N.Takahashi,...: "Extraction of radioactive positive ions across the surface of super-fluid helium : A new method to produce cold radioactive nuclear beams"Europhys.Lett.. 63. 687-693 (2003)