2002 Fiscal Year Annual Research Report
傾斜電極型電離箱による高エネルギー重イオンの粒子識別
Project/Area Number |
14540284
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Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
木村 喜久雄 長崎総合科学大学, 工学部, 教授 (60108636)
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Keywords | 高エネルギー重イオン / RIビーム / ガス電離箱 / 粒子識別 / RIビームファクトリー |
Research Abstract |
本年度の前半は傾斜電極型の気体電離箱の制作を行った。この電離箱は薄膜電極を垂直から30°だけ傾けたものを2cm間隔で13枚並べた構造をしている。それぞれの電極は交互にアノード及びカソードとして用いることで平行平板型の電離箱として動作させる。薄膜電極には両面をアルミ蒸着したマイラー膜を用いたが、その蒸着は専門の会社に依頼をした。電極フレームや電離箱容器の制作は町工場の方に依頼をした。出来上がった部品を電離箱に組み上げる作業は学生と共に研究室で行った。 この間、理化学研究所の予算で以前に制作した同種の電離箱のテスト実験を行った。この実験は^<56>Feの入射核破砕片のエネルギー損失量を電離箱で測りそれを基に粒子識別を行うというものであるが、原子番号Z=26までの全ての粒子に対してZ分解能が0.3以下という非常に良い分解能を持つことがわかった。さらにこの分解能が入射粒子強度に対してどのように変化するか調べた結果、101^5cpsを超してもほとんど分解能が低下しないことが解った。 本年度後半は、本研究で作った電離箱と上で用いた電離箱とを結合しタンデム型の検出器として動作させる実験を行った。この実験は検出器のZ分解能がガス層の厚さに対して対して特徴的な変化をすることが予想されるのでそのことを調べるのが主な目的である。併せて、高計数率での検出器の性能限界も調べた。得られた結果については現在解析中であるが、ガス層の厚さに対してのZ分解能の変化の仕方はガス層の厚さの平方根にほぼ逆比例するという理想的な様相を示す結果が得られている。
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Research Products
(1 results)