2002 Fiscal Year Annual Research Report
単一及び結合量子ドット系の量子コヒーレンスの理論的研究
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14540300
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
高河原 俊秀 京都工芸繊維大学, 工芸学部・電子情報工学科, 教授 (00111469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 英彦 NTT物性科学基礎研究所, 主任研究員
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Keywords | 半導体量子ドット / コヒーレント光学現象 / 量子状態制御 / ラビ振動 / 多励起子状態 / 量子コヒーレンス |
Research Abstract |
半導体量子ドットの量子状態を光で制御する方法を開拓するには、まず量子ドットにおける励起子や励起子分子など一般の多励起子状態の光学的性質を明らかにする必要がある。量子ドットにおける励起子状態を計算するために、以前はべき級数展開を用いていたが、ここでは直交基底の利点を生かすために、エルミート多項式による展開方法を考案した。現在までに、電子正孔交換相互作用を含めた励起子微細構造の計算において、この方法が有効であることを確認した。これから、励起子分子、荷電励起子の微細構造、光学的性質の研究に進む。半導体量子ドットにおけるラピ振動は通常は1-2回の振動で減衰してしまうが、以前より共同研究を進めていたテキサス大のShih教授のグループは、5-6回にも及ぶラビ振動の観測に成功した。更にこの実験で励起子の位相緩和定数が、励起光パルスの強度ではなくパルス面積に比例することを見出した。この興味深い実験結果を解釈するために、ラビ振動を起こしている特定の量子ドットとそれを取り巻く数個の量子ドットを考え、後者が双極子-双極子相互作用を通して前者に影響を及ぼすというモデルを提唱し、考察を続けている。 研究分担者の鎌田主任研究員は、半導体量子ドットの励起子分子から励起子、励起子から基底状態へのカスケード的な光学遷移において発生する2個の光子間の相関を測定し、2個の光子はentangleしていないことを見出した。この原因として、量子ドットが形状の異方性を持っているために、偏光特性の異なる励起子状態が縮退していないことが指摘された。鎌田主任研究員は更に、2個の半導体量子ドットを用いてCNOTゲートを実現するための基礎実験に取り組んだ。積層型量子ドットに電場を印加して、各量子ドット内の励起子間の双極子-双極子相互作用を変化させ、2つをentangleさせることを考案した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Takagahara: "Theory of Exciton Coherence and Decoherence in Semiconductor Quantum Dots"Physica Status Solidi (b). Vol. 234,No.1. 115-129 (2002)
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[Publications] H.Htoon, C.K.Shih, T.Takagahara: "Quantum coherence phenomena in semiconductor quantum dots : quantum interference, decoherence and Rabi oscillation"Chaos, Solitons and Fractals. Vol. 16. 439-448 (2003)
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[Publications] T.Takagahara: "Theory of excitonic Rabi oscillation, quantum interference and dephasing in single quantum dots"Technical Digest of NATO Advanced Research Workshop on Frontiers of Spintronics and Ontics in Semiconductors. 48-48 (2002)
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[Publications] H.Htoon, D.Kulik, C.K.Shih, O.Baklenoy, T.Takagahara: "Interplay of Rabi Oscillations and Quantum Interference in Semiconductor Quantum Dots"Quantum Electronics and Laser Science. Vol.74. 173-174 (2002)
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[Publications] H.Kamada, H.Gotoh, H.Ando, T.Takagahara, I.Temmyo: "Exciton Rabi oscillation coherently manipulate zero-dimensional quantum states by light"Quantum Electronics and Laser Science. Vol. 74. 233-234 (2002)
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[Publications] T.Takagahara: "Quantum Coherence, Correlation and Decoherence in Semiconductor Nanostructures"Academic Press. 484 (2003)