2002 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブに於けるクーロン・ブロッケイドの理論的研究
Project/Area Number |
14540302
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
岩渕 修一 奈良女子大学, 理学部, 教授 (40294277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 英生 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (40252225)
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Keywords | クーロンブロッケイド / カーボンナノチューブ / 朝永-ラッティンジャー流体 / 非フェルミ流体 / ボソン化法 / 開放境界条件 |
Research Abstract |
近年、カーボンナノチューブの伝導特性が研究され、朝永-ラッティンジャー流体としての性格(特異な巾依存性を持つトンネル電流-電圧特性)とクーロンブロッケイド特有の現象(クーロン階段、クーロン振動)がともに見いだされている。非フェルミ流体である朝永-ラッティンジャー流体をアイランドとする系でのクーロンブロッケイドは既存のものとは異なる発展性を持つ可能性があるが、これまでのところこのような系を正面から記述する理論的研究はなされていない。今年度は、朝永-ラッティンジャー流体をアイランドとし、かつ容量結合型単一電子トンネル構造(C-SET構造)を持つ微小二重トンネル接合系という一般的なモデルに対してクーロンブロッケイドの理論の構築し、系のトンネル電流の定式化を行った。アイランドに関しては、ゼロモードを考慮したボソン化法を極微小アイランドであることから開放境界条件の下で記述した。また、クーロンブロッケイドに関しては任意の電磁場環境効果の下でのC-SETでのクーロンブロッケイド理論を整備して、前記アイランドの取扱いと無撞着に記述した。これまでのところ、この理論は実験結果を合理的に説明することがほぼ確認できており、現在有限温度での解析を続行を続けるとともに論文投稿準備を行っている。 カーボンナノチューブそのものについても研究を行った。これまでこの物質の理論的研究は、バルクの性質を議論するために周期境界条件を用いて行なわれてきたが、実際の物質は1μm程度の長さを持つため、端の効果も重要となる。この新奇な電子状態に対する端の効果に着目し、端を有するカーボンナノチューブの朝永-ラティンジャー液体理論をカーボンナノチューブの結晶構造(バレー縮退など)を考慮して構築した。さらに、その理論に基づいて、電荷密度や状態密度の空間依存性を詳しく論じた。今後は、これらの研究を結びつけ、カーボンナノチューブのクーロンブロッケイドの理論を完成させ実験の解析および新たな現象の指摘へと発展させてゆく
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Research Products
(5 results)
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[Publications] C.Tanaka, S.Iwabuchi: "Theory of Coulomb Blockade in Tomonaga-Luttinger Liquid Connected with Ferlimi Liquida"Microelectronics Engineering. 63. 43-46 (2002)
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[Publications] S.Iwabuchi, H.Higurashi, F.Wakaya, C.Tanaka, Y.Nagaoka: "Theory of Coulomb blockade in an ultrasmall double tunnel junction with a capacitively-coupled gate structure"Phys.Rev.B. (in press).
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[Publications] H.Yoshioka, Y.Okamura: "Tomonaga-Luttinger-Liquid Theory of Metallic Carbon Nanotubes with Open Boundaries"J.Phys.Soc.Jpn.. 71. 2512-2519 (2002)
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[Publications] H.Yoshioka, Y.Hashizume: "Excitations in the charge ordered state of one-dimensional extended Hubbard model at half-filling"Synthetic Metals. (in press).
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[Publications] 大津元一他編 (部分執筆:岩渕修一): "ナノ光工学ハンドブック(執筆箇所:2理論的基礎…微小領域の電子系の振舞い)"朝倉書店. 624 (2002)