2003 Fiscal Year Annual Research Report
テンプレートに誘導される有機結晶の不均一核形成の放射光X線解析によるその場観察
Project/Area Number |
14540305
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 清隆 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (80034479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 聡 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (50243605)
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Keywords | テンプレート / 不均一核形成 / 放射光X線解析 / アルカン結晶 / エマルション / 添加物効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「テンプレート」(鋳型)によって誘導される有機結晶の不均一核形成の動的なメカニズムを解明することである。そのために主として放射光X線解析による、テンプレート誘導核形成現象の「その場観察」を行なう。結晶成長の環境としては、バルク溶液と分散系水中油型(0/W)エマルションをとりあげ、結晶化させる物質としてアルカンと植物油脂を用いる。テンプレートとして、バルク溶液系では蒸着薄膜、エマルション系では両親媒性長鎖状分子の界面吸着膜を作成する。 平成15年度では、エマルションにおいてテンプレートに誘導される不均一核形成の観察を行った。まず融点の低い乳化剤を用いてn-ヘキサデカンを水に分散して作成したエマルションに、疎水性が高く融点も高い界面活性剤を添加し、それに誘導される不均一核形成の速度論を放射光X線回折とDSCの同時測定により、テンプレートの形成による誘導核形成現象をその場観察する。具体的には、以下の結果が得られた。 1)添加物として、ジアシルグリセロールを用いて、アルカンの0/Wエマルション中の結晶核形成を、等温条件で観察した。その結果、添加物のない場合には、三斜晶型のアルカン結晶が核形成するのに対して、添加物がある場合には、偽ヘキサゴナル型-斜方晶型の結晶が核形成した後に、三斜晶型の結晶が核形成することが確認された。 2)添加物の濃度と過冷却度(結晶化温度)を系統的に変化させて、放射光X線回折を行った結果、過冷却度に関係なく、添加物が少量の場合は三斜晶型が現れ、濃度が増すにつれて偽ヘキサゴナル型一斜方晶型が現れることが判明した。 3)以上の結果を、エマルション界面における不均一核形成モデルで説明した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tomoyuki Sonoda: "DSC and Synchrotron-radiation X-ray diffraction Studies on Crystallization and Polymorphic Behavior of Palm Stearin in Bulk and Oil-in-Water Emulsion States"J.Am.Oil Chem.Soc.. 81(印刷中). (2004)
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[Publications] Kaoru Higaki: "In-situ optical observation of microstructure of β-fat gel made of binary mixtures of high-melting and low-melting fats"Food Res.International. 37. 2-10 (2004)
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[Publications] Mistuhiro Sakamoto: "Effects of adding polyglycerol behenic acid esters on the crystllization of palm oil"J.Oleo Science. 52. 639-645 (2003)
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[Publications] Satoru Ueno: "Controlling polymorphic crystallization of n-alkane crystals in emulsion droplets through interfacial heterogeneous nucleation"Crystal Growth & Design. 3. 935-939 (2003)
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[Publications] Kiyotaka Sato: "Kinetics of liquid-solid transformation in emulsion droplets In : Nanoscale Structure and Assembly at Solid-Fluid Interfaces"Kluwer Academic/Plenum Pub, X.YLiu and J.J.De Yoreo編集(印刷中). (2004)