2004 Fiscal Year Annual Research Report
低温表面構造揺らぎの時間分解モンテカルロシミュレーション
Project/Area Number |
14540307
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
河合 伸 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (60204674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成清 修 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (60252631)
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Keywords | シリコン(001)表面 / モンテカルロシミュレーション / 走査トンネル顕微鏡 / 固体表面 / 振動 |
Research Abstract |
P型Si(001)表面で、走査トンネル顕微鏡(STM)のトンネル電流によるダイマー振動の励起確率について詳しく研究した。その結果、従来発表していた弾性電流と非弾性電流の比に修正が必要になることを明らかにした。この比が従来よりも1/3の大きさになる。ダイマー振動の実効温度における基盤温度依存性は、この修正によっても殆ど影響されない。STM電流依存性は、数十パーセントの修正を受ける。STM観測下でのP型Si(001)表面のSTM像に関する基盤温度依存性、STM電流依存性に関する結論は、従来発表したものと変らない。 N型Si(001)表面で、STM電流によるc(4×2)-p(2×2)構造間操作が報告されている。15年度の本研究でこの構造間操作が表面電場によってダイマーへのトルクが重要であることを明らかにしている。このモデルの基に、表面電場によるトルクを考慮したモデルハミルトニアンを開発した。このモデルハミルトニアンを使い重川らの実験と同じ濃度のC型欠陥を配置した系でのモンテカルロシミュレーションを行なった。結果は、重川らによって報告されているc(4×2)分域・p(2×2)分域の温度依存性を極めてよく再現している。この温度依存性は、C型欠陥の濃度に大きく依存する。この結果から、c(4×2)-p(2×2)構造間操作が表面電場によるダイマーへのトルクに原因があることが明らかになった。またc(4×2)分域・p(2×2)分域の温度依存性が誘電率の温度依存性によることも明らかになった。 表面ダイマー系の有効モデルを簡単化した2次元イジングモデルの非平衡状態の記述にマルチフラクタル統計を導入し、ガラスや乱流の性質を示す他の2次元系にマルチフラクタル解析を適用した。これらの系では強い時空相関が存在し非平衡な分布を支えている。この時空相関を支えるコヒーレントなモードについて、シミュレーションをもとに明らかにした。
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Research Products
(6 results)