2002 Fiscal Year Annual Research Report
充填スクッテルダイト型化合物における異常金属-絶縁体転移の機構解明
Project/Area Number |
14540318
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
関根 ちひろ 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (60261385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 哲虎 産業技術総合研究所, 電力エネルギー研究部門, 研究員 (80358358)
城谷 一民 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (90110692)
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Keywords | スクッテルダイト / 金属リン化物 / 希土類化合物 / 強相関電子系 / 金属-絶縁体転移 / 構造相転移 / ネスティング / 四極子転移 |
Research Abstract |
充填スクッテルダイト化合物PrRu_4P_<12>及びSmRu_4P_<12>は約60K、16Kでそれぞれ金属-絶縁体転移を示すことが知られている。これらの転移の機構を解明することを目的にフラックス法による単結晶試料育成、高圧合成法による多結晶試料の合成を行い、電子線回折、X線回折、強磁場実験等を行なった。平成14年度の予算でターボ分子ポンプ排気装置を購入した。本装置は既設のヘリウム循環型冷凍機と組み合わせ、作製した試料の評価を行なう物性測定に使用した。平成14年度はPrRu4_P_<12>に関しては金属-絶縁体転移に伴う構造相転移を詳しく調べるため、単結晶試料を用いた電子線回折実験及び放射光を用いたX線回折実験を10Kから室温までの広い温度範囲で行なった。その結果、低温相の結晶構造は立方晶で、考えられる空間群5つの中から最も可能性の高いのはP23あるいはPm-3であることが分かった。SmRu_4P_<12>に関しては、金属-絶縁体転移が二段階で起こることが知られているが、その二つの転移の性質を調べるため、多結晶試料を用いた強磁場磁化測定を行った。その結果、30テスラまでの温度-磁場相図が得られ、CeB_6などの反強的四極子転移と反強磁性転移を示す物質に見られる相図と類似していることが分かった。このことはSmRu_4P_<12>の連続する二つの転移が反強的四極子転移、反強磁性転移であることを強く示唆するものと考えられる。 この二つの物質の金属-絶縁体転移は異なる機構で起こると考えられ、この違いは各希土類イオンの結晶場基底状態の違いに起因すると考えら得る。今後は、中性子散乱実験等による結晶場の研究を行なう予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] C.Sekine: "Magnetic phase diagram of filled skutterudite compound SmRu_4P_<12>"Acta Physica Polonica B. 34. 983-986 (2003)
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[Publications] R.Giri: "Magnetic properties of Sm-based filled skutterudite phosphides"Physica B. 329-333 Part 2. 458-459 (2003)
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[Publications] K.Fujiwara: "NMR study of magnetic properties in SmRu_4P_<12>"Physica B. 329-333 Part 2. 476-477 (2003)