2003 Fiscal Year Annual Research Report
微小超伝導体の物理とその量子計算機素子への応用に関する理論的研究
Project/Area Number |
14540321
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海老澤 丕道 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (90005439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 裕志 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (30323091)
林 正彦 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (60301040)
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Keywords | 超伝導体 / 不純物効果 / 高温超伝導体 / 界面効果 / t-Jモデル / dc-SQUID / ノイズ / RSJモデル |
Research Abstract |
微小超伝導体における不純物効果と量子干渉効果に関して、Bogolinbov-de Gennes方程式を数値的に解くことによって研究を行った。その結果、乱れた系におけるエネルギーギャップの非一様性に関して、新たなる知見を得た。乱れが大きくなるほどエネルギーギャップの絶対値の平均は減少するが、その減少率は磁場が強くなるほど小さくなることが分かった。これは、高温超伝導体のようにドーピングによる乱れの存在が本質的に避けられない超伝導体においては重要な知見である。 高温超伝導体における界面効果に関してt-Jモデルに基づく研究を行った。まずt-Jモデルに基づき秩序変数の平衡状態を記述するGinzburg-Landau方程式を導出し、電子密度の大きく違う2つの(オーバードープとアンダードープ)高温超伝導体を接触させた場合の界面における超伝導特性について調べた。その結果、界面においては母体となる高温超伝導体の転移温度よりも高い温度で超伝導性が出現することを見出した。これは、ナノテクノロジーを用いた物性の制御の観点から興味深い結果である。 dc-SQUIDにおける磁束および電流ノイズの効果に関して、数値シミュレーションを行ってその特徴を明らかにし、良好な動作のために必要な条件に関する知見を得た。計算は、まず交流電流によるバイアスを印加したときの出力電圧に対するノイズの影響について、ランダムに生成したノイズ系列を加えた微分方程式を数値的に解くことによって解析した。その結果、バイアス電流の振幅や周波数によってノイズの影響の強さが異なることがわかった。また、ノイズの影響が最小になるようなバイアス電流の条件を明らかにした。さらに、磁束ノイズとして1/fノイズを印加した場合についてもシミュレーションを行った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Imamura, Y.Utsumi, H.Ebisawa: "Spin relaxation and tunnel magnetoresistance of a ferromagnet/ superconductor/ferromagnet single-electron tunneling transist"Physica E. 18. 43-44 (2003)
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[Publications] M.Hayashi, H.Ebisawa: "Parity Effect in a Tiny SQUID"Phys.Rev.B. 67. 014524 (2003)
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[Publications] Y.Utsumi, H.Imamura, M.Hayashi, H.Ebisawa: "Noise of a single-electron transistor in the regime of large quantum fluctuations of island charge out of equilibrium"Phys.Rev.B. 67. 035317 (2003)
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[Publications] M.Hayashi, H.Ebisawa: "Novel boundary effect in high temperature superconductors : superconductivity induced by pseudogap proximity effect"Physica C. 392(396). 48-52 (2003)