2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540325
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 和夫 東京大学, 物性研究所, 教授 (70114395)
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Keywords | 重い電子系 / 軌道縮退 / 超伝導 / 相対論的バンド計算 / j-j結合スキーム / スピン揺らぎ / 軌道ゆらぎ / スピン軌道の結合モードの揺らぎ |
Research Abstract |
重い電子系の超伝導体であるCeXIn_5(X=Co, Rh, Ir)、および最近発見されたPuXGa_5(X=Co, Rh)について、その電子状態を相対論的バンド計算を用いて調べた。その結果、Ce115系とPu115系のフェルミ面を含む電子構造に著しい類似性があることが分かった。このよう電子状態の特徴はj-j結合スキームをとると自然に理解されることを指摘し、j-j結合スキームに基づくミクロな多体電子モデルを導出した。この多電子問題をRPAおよび、FLEX近似を用いて解析し、スピン揺らぎ、軌道揺らぎ、そして電荷揺らぎの特徴を明らかにした。さらにその揺らぎを用いて超伝導を議論し、常磁性金属相からd波超伝導、さらには反強磁性秩序相への相転移が軌道縮退の度合を変化させることによって生じ得ることを示した。 また、遷移金属化合物で最初の重い電子系的振舞いが報告されているLiV_2O_4についても、パイロクロア格子の持つ幾何学的なフラストレーションに加えて、t_<2g>軌道の軌道縮退が重要な働きをしているのではないかとの予想のもとに、パイロクロア格子上のt_<2g>軌道のモデルについて研究した。重い電子系の特徴である温度に比例した低温の比熱係数に注目し、その表式をRPA近似に基づいて求めた。スピン揺らぎのみでなく、軌道揺らぎ、およびスピン軌道の結合モードの揺らぎが、重い電子系的振舞いに重要な寄与をしていることを明らかにした。 二次元でスピンギャップと磁化プラトーを示す直交ダイマーの系については、二個のトリプレット励起について調べ、一個のトリプレット励起よりも大きな分散を示すことを明らかにした。
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[Publications] T.Takimoto: "Spin Fluctuation Induced Superconductivity Controlled by OrbitaFluctuation"J.Phys. : Condens.Matter. 14. L369-L375 (2002)
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[Publications] S.H.Curnoe: "Theory of Metal-Insulator Transition in PrFe_4P{_<12> and PrRu_4P_<12>"J.Phys.Chem.Solids. 63. 1207-1210 (2002)
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[Publications] I.Maruyama: "Kondo hole in one-dimensional Kondo insulators"Physical Review B. 65. 174421 (2002)
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[Publications] T.Takimoto: "Tight-Binding Model for Heavy Fermion Compounds : Construction of f-p Model"Proc. of SCES 2002. (in print). (2003)
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[Publications] T.Hotta: "Effect of orbital degeneracy on triplet superconductivity in f-electron systems"Proc. of SCES 2002. (in print). (2003)
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[Publications] S.H.Curnoe: "Multipolar ordering in half-integral spin systems"Physica A-E (Proc. of LT23). (in print). (2003)