2004 Fiscal Year Annual Research Report
低次元量子スピン系における非磁性基底状態と磁場誘起スピンギャップの理論的新展開
Project/Area Number |
14540329
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡本 清美 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40152342)
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Keywords | 磁場誘起スピンギャップ / 磁化プラトー / 量子スピン / 磁気相図 / 磁性体 / 非磁性基底状態 / スピン液体 / フラストレーション |
Research Abstract |
我々は種々のモデルに対して非磁性状態や磁場誘起スピンギャップの機構を探り,それが現れる条件(パラメーターにどのように依存するかの相図など)を明らかにした. 1.F5PNNと略称される有機合成磁性体(第一義的には反強磁性ボンド交代スピン鎖と思われている)に関しては磁場誘起相転移が起こっていると思われている.我々は詳細な数値計算により,磁場誘起相転移性質を解明し,また磁化プラトーの存在との関連についても明確にした 2.フラストレーションのあるS=1の2本足スピン梯子について,解析的ならにび数値的手段により,その磁気的性質を明らかにした.磁場誘起スピンギャップは,飽和磁化の1/4,1/2,および3/4に現れる可能性がある.我々はハミルトニアンに含まれるパラメーターと磁場誘起スピンギャップの出現消失の関係について非常に精密な結論を得た. 3.ハミルトニアンと状態関数の間の異方性逆転現象について調べた.異方性逆転現象とは,ハミルトニアンの相互作用がXY的であるときに基底状態がネール状態になり,相互作用がイジング的であるときに基底状態がスピン液体状態になるというもので,従来の常識とは全く逆の振る舞いである.三量体性,フラストレーション,異方性,これら3つの作用の複雑なバランスでこのようなことが起きていることが本研究で明らかにされた. 4.BIP-TENOと略称される有機合成磁性体では非自明な磁場誘起スピンギャップ(飽和磁化の1/4)が実験で観測されている.我々は以前にプラトー機構を提案したが,その機構では磁場誘起スピンギャップの幅が説明困難であることが判明した.我々は全く新しい機構である格子歪みとの複合機構を提案し,実現可能性について詳細に論じた.
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Research Products
(8 results)