2003 Fiscal Year Annual Research Report
二本足スピン梯子系及び一次元ボンド交替スピン系の動的性質
Project/Area Number |
14540336
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅 誠一郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40206389)
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Keywords | フラストレートしたS=1 / 2ボンド交替鎖 / 磁場中での臨界的性質 / NMR緩和率 / 朝永・ラッティンジャー流体 / 非整合な磁気秩序 / S=1ボンド交替鎖 / 動的構造因子 / ハルデーンギャップ |
Research Abstract |
今年度得られた主な結果は以下のとおりである。 1.数値厳密対角化法と共形場理論に基づく有限サイズスケーリングを用いて、次近接相互作用を持つS=1/2ボンド交替鎖の磁場中での臨界的性質を調べた。その結果、通常の系とは異なり、飽和磁化の1/2付近の磁場において、格子の周期と非整合なスピン密度相関が支配的になるパラメータ領域が存在することを明らかにした。このようなスピン相関関数の特徴は磁場中でのNMR緩和率の温度依存性によって観測可能である。また、このようなスピン相関が現われるメカニズムを朝永・ラッティンジャー流体の観点から説明するとともに、相図を決定した。次に、そのようなパラメータ領域で鎖間相互作用を考慮した場合、系は磁場方向の非整合なスピン密度が3次元磁気秩序を作りやすい状況にあることを示した。 更に、得られた結果に基づいて、最近観測されたS=1/2ボンド交替鎖物質F_5PNNの磁場中でのNMR緩和率に現われる異常な振る舞いについて説明した。 2.ランチョス法に基づく連分数展開によって、S=1ボンド交替鎖の動的構造因子を計算した。この系はボンド交替の強さを変化させた場合、ギャップレス点をはさんでハルデーン相とボンド交替相が現われる。ボンド交替の強さの変化に伴い、それぞれの相でa)1トリプレット励起モード、及び素励起連続帯がどのように変化するか、b)それらの散乱強度の分布がどのように変化するか、について系統的に調べた。我々の計算結果は、ごく最近行われたS=1ボンド交替鎖物質NTENPの非弾性中性子散乱実験を良く説明する事が報告されている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Nobuyasu Haga: "Optical absorption spectra in SrCu_2O_3 two-leg spin ladder"Physical Review B. 67. 134432 (2003)
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[Publications] Akihisa Koga: "Effects of Degenerate Orbitals on the Hubbard Model"Journal of the Physical Society of Japan. 72・5. 1306 (2003)
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[Publications] Takahumi Suzuki: "Dynamical structure factors of S=1 bond-alternating Heisenberg chain"Physical Review B. 68. 134429 (2003)
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[Publications] Sei-ichiro Suga: "Kondo effect in two-dimensional disordered electron systems"Journal of the Physical Society of Japan. 72・Suppl.A. 139 (2003)
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[Publications] Nobuyasu Haga: "Optical absorption of S=1/2 two-leg spin ladder systems"Physica B. 329-333. 1014 (2003)
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[Publications] Takuma Ohashi: "Kondo effect in low-dimensional disordered systems"Physica B. 329-333. 1275 (2003)
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[Publications] Sei-ichiro Suga: "Non-Fermi-liquid properties in disordered Kondo systems"Journal of Physics : Condensed Matter. 15. S2219 (2003)