2003 Fiscal Year Annual Research Report
URu_2Si_2,UPt_3で現われる異常磁性と特異超伝導の高圧NMRによる解明
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14540344
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Research Institution | Graduate school of Material Science, Himeji Inst.of tech. |
Principal Investigator |
小原 孝夫 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70107986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 光一 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20203440)
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Keywords | 高圧NMR / 微視的競合 / 濃縮化 / 希釈冷凍機 / 超伝導エネルギーギャップ |
Research Abstract |
URu2Si2では、2〜3年前の我々の高圧SiNMRで、試料中に「微視的な2相(反強磁性、隠れた秩序をもつ常磁性)の体積分率での競合」というまったく新しい知見が得られた。本課題では「圧力下で発生した反強磁性領域での超伝導ギャップについての情報を得ること」を主な研究目的とした。しかし圧力印加とともに超伝導臨界温度は1.5Kから下がるので、超伝導エネルギーギャップの構造を知るには、核磁気緩和率を20〜30mKくらいの十分低温まで測定する必要があり、既設の希釈冷凍機の冷却能力では、比較的大きなNMR用高圧セル(2GPaまでの耐圧設計、外径20mm、高さ90mm)が必要なこともあって、250mK付近までしか温度が下がらなかった。今回は希釈冷凍機内にセットされたセルで反強磁性領域からの弱いSiのNMR信号が、やっと観測されたのみで、緩和率の温度変化までの実験の遂行が出来なかった。NMR用高圧セルのスリム化(材質と耐圧)と希釈冷凍機の構造上の改良をしなければならない。常伝導状態ではあるが、高圧SiNMRで、発生する反強磁性は一様なもので磁気モーメントも0.3μBの大きさが保たれていることがわかった。一方第2番目の試料であるUPt3では、以前からの我々のPtNMRの結果をふまえて、高圧によりスピンのゆらぎをおさえて、異常に小さい(中性子実験でしか分からない)磁気モーメントの知見をenriched Ptを用いたNMRによって得るのがの目的であった。このenriched195Ptは外国製でしか手に入らない。濃縮度が99.8%であるのは確かだが、フランス製、アメリカ製ともPtの化学的純度が非常に悪かった(99.0〜99.3%)。少なくとも99.9%以上の純度の原試料で作製したUPt3でないと、超伝導状態で過去報告された多くの実験結果と異なる結果が出るだろうと予想でき、試料作製計画を断念した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Matsuda: "29Si NMR study of URu2Si2 under pressure"Physica B. 312-313. 504-505 (2002)
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[Publications] Y.Kohori: "NMR and NQR studies of superconducting CeTIn5 (T=Co, Rh and Ir)"Physica B. 312-313. 126-128 (2002)
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[Publications] T.Kohara: "New Aspects on URu2Si2 and CeTIn5 (T=Rh, Ir, Co) Observed by High Pressure NMR and NQR"Pramana-J.of Phys.. 58. 755-760 (2002)
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[Publications] K.Matsuda: "The appearance of homogeneous antiferromagnetism in URu2Si2 under high pressure : 29Si nuclear magnetic resonance study"J.of Phys.cond.Mat.. 15. 2363-2373 (2003)
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[Publications] Y.Kohori: "Sb NQR study of superconducting YbSb2"Physica C. 388-389. 579-580 (2003)
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[Publications] T.Hama: "Observation of unusual behavior in 55Mn NQR for MnII site in β-Mn metal"Physica C. 329-333. 1081-1082 (2003)