2002 Fiscal Year Annual Research Report
固体量子ビットにおけるデコヒーレンスの克服と量子誤り訂正コードの開発
Project/Area Number |
14540346
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
中原 幹夫 近畿大学, 理工学部, 教授 (90189019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 孝義 近畿大学, 理工学部, 助教授 (80257964)
近藤 康 近畿大学, 理工学部, 助教授 (40330229)
細谷 暁夫 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80028258)
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Keywords | 量子計算 / 量子情報 / 量子ビット / ホロノミー / 量子ゲート / 量子ドット / 単一分子磁石 / 液体ヘリウム上の電子 |
Research Abstract |
中原とSalomaaは、縮退した量子系における非アーベル的断熱位相を利用して、量子計算に必要なユニタリー行列を構成するアルゴリズムを研究した。また、実際にこのアルゴリズムを用いて、任意の1-量子ビット・ユニタリー・ゲートや、CNOTゲートが構成されることを示した。通常、あるループを与えて、そのループに伴うユニタリー行列を求めることは、原理的に可能であるが、その逆問題、すなわちあるユニタリー行列に対し、それをホロノミーとして与えるループを求めることは困難である。中原たちは、この問題を変分問題として再定式化することにより解決した。さらに2-量子ビット系で、通常多くの基本量子ゲートをもちいて構成される離散Fourier変換ゲートを、単一のゲートで構成した。 JoyntはSiGeヘテロ構造におけるスピン量子ドットを研究し、フォノンの吸収・放出によって生じるスピン緩和によるデコヒーレンスは、大きな障害とはならないことを示した。 細谷は、ブラックホール時空におけるホーキング輻射を、量子情報理論的に研究した。思考実験として、観測後に測定器をブラックホールに放り込む場合を調べ、ブラックホール固有のエントロピーと通常の熱力学的エントロピーの和(一般化されたエントロピー)の増分は、測定器を放り込まなければ得られたであろう情報量以上となることを示した。 黒田は量子ビットの構築素子として期待されているMn_<12>核錯体に対して、従来の醋酸基に変えてリン酸基を有する架橋基を導入した新規なMn_<12>核錯体を合成し、その構造解析と磁性測定を行った。導入されたリン酸基はMn_<12>核錯体の軸方向から配位しており、単一分子磁石としての特性を有することを明らかにした。 近藤は分子磁石やリュドベルグ原子など多準位を持つ量子系を用いて量子計算を実現する試みを吟味し、このアイデアを液体ヘリウム上の電子系に適用する可能性を検討した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] A.O.Niskanen, M.Nakahara, M.M.Salomaa: "Realization of arbitrary gates in holonomic qunatum computation"Physical Review A. 67・1. 012319-1-012319-10 (2003)
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[Publications] A.O.Niskanen, M.Nakahara, M.M.Salomaa: "Optimal Holonomic Quantum Gates"Quantum Information and Computation. 2・Special Issue. 560-577 (2002)
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[Publications] M.Mottonen, N.Matsumoto, M.Nakahara, T.Ohmi: "Continuous creation of a vortex in a Bose-Einstein condensate with hyperfine spin F=2"Journal of Physics : Condensed Matter. 14・49. 13481-13491 (2002)
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[Publications] A.Hosoya, A.Carlini: "Quantum entropy bound by information in black hole spacetime"Physical Review D. 66・10. 104011-1-104011-5 (2002)
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[Publications] T.Kuroda-Sowa, S.Fukuda, S.Miyoshi, M.Maekawa, M.Munakata, H.Miyasaka, M.Yamashita: "A Chemical Modification of a Mn_<12> Single-Molecule Magnet by Replacing Carboxylate Anions with Diphenylphosphate Anions"Chemistry Letters. 31・7. 682-683 (2002)