2004 Fiscal Year Annual Research Report
固体量子ビットにおけるデコヒーレンスの克服と量子誤り訂正コードの開発
Project/Area Number |
14540346
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
中原 幹夫 近畿大学, 理工学部, 教授 (90189019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細谷 暁夫 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80028258)
近藤 康 近畿大学, 理工学部, 助教授 (40330229)
黒田 孝義 近畿大学, 理工学部, 助教授 (80257964)
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Keywords | 超伝導量子ビット / NMR量子コンピュータ / 等ホロノミー問題 / ホロノミック量子計算 / Cartan分解 / エンタングルメント / 量子情報空間の計量 / 単一分子磁石 |
Research Abstract |
中原は,超伝導量子ビットにおいて多量子ビットゲートをモジュール化して実行時間を減少させる提案を行い,これを用いてShorのアルゴリズムを超伝導量子ビットで実装する提案を行った.また,近藤と協力して,Cartan分解を利用した量子アルゴリズムの加速をNMR量子コンピュータで実証した.与えられた量子ゲートに簡単なゲートを加え,実行時間を短くするwarp-gateの方法を提唱し,NMRで実証を行った.また,谷村(大阪市大)たちとStiefel多様体の接続に伴うホロノミーを用いて量子計算を行う場合に,底空間(Grassmann多様体)上の最短ループで与えられたホロノミーを実現する等ホロノミー問題の厳密解を求めた. 細谷はCarlini(東工大)古池(慶応理工)奥平(東工大)とともに、量子情報空間における計量に関する研究を行った.それによれば、CP写像に対する単調減少性を課すと任意関数一個を含むPetzの計量になるが、さらに測定過程による計測可能性まで要求するとBure計量に限られる.さらにCarliniと岡野(東工大)とともに、エンタングルメントと干渉性が相補的な関係にあることを、純粋状態については一般的に、混合状態については2キュービットについて示し,EQIS 2004で発表. 近藤は日本電子製のNMR装置を用いて2キュービットまでの量子計算を実行した。具体的には異種核の13Cラベルしたクロロホルムと同種核のシトシンを用いたドイチ・ジョサとグローバーのデータベース検索のアルゴリズムを実行した。さらに、アルゴリズムの加速やwarp-driveなどの新しいアイデアの検証も行った.同種核の回転座標系におけるハミルトニアンを正しく求め、正確にスピン・ダイナミクスを予言した. 黒田は[Mn_<12>O_<12>(OAc)_<12>(dpp)_4]の合成を行ないその単結晶X線結晶構造解析から、4分子のdppがMn_<12>核錯体の上下から配位した構造であり、配位不飽和な5配位のMn(III)イオンが存在することを示した。この配位不飽和なMn(III)イオンは溶液中では水やアルコールなどが配位可能である。これは、このサイトへの配位を利用してMn_<12>核錯体を一次元的に配列させることができることを示唆しており、今後の巨大スピンを有する系の構築に大きく寄与するものである.
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Research Products
(7 results)