2002 Fiscal Year Annual Research Report
過冷却コロイド液体およびコロイドガラス転移の統計物理学的研究
Project/Area Number |
14540348
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳山 道夫 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (40175477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 弥生 東北大学, 流体科学研究所, 助手 (20301814)
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Keywords | 非平衡揺らぎ / コロイド分散系 / ガラス転移 / 過冷却液体 / スローダイナミクス / 異常緩和過程 / 不均一空間構造 / ソフトマター |
Research Abstract |
理論、および数値計算によって、コロイド分散系での過冷却液体領域での空間構造とダイナミクスの研究を行った。 (1)最近、徳山は、中性コロイド分散系に対して、分散媒中のコロイド間に働く長距離流体力学的相互作用から導かれる局所密度揺らぎの非線形拡散確率方程式を導出し、長距離流体力学的相互作用によって過冷却液体領域での密度揺らぎの非常に遅い緩和が生じることを理論的に示した。そこで、その理論式を数値的に解き、ガラス転移点近傍では、空間的な不均一性が緩和現象に大きな影響を与えていることを示した。転移点近傍では、過冷却液体領域にガラス領域の大きなクラスターが形成され、このクラスターが長時間安定であることから非常に遅い緩和が生じることがわかった。また、平衡状態の密度揺らぎと非平衡状態での密度揺らぎの緩和過程の比較を行った。平衡系ではガラス領域の空間構造が非線形揺らぎそのものによって励起され、小さいクラスター構造は密度揺らぎにより壊される。そのため、非平衡系では特徴的な小さなクラスター構造に起因するβ緩和過程が、平衡系でははっきりしないことが示された。 (2)最近、徳山は、希薄高荷電コロイド分散系で、中性コロイド分散系と同様に過冷却液体状態が生じることを理論的に示し、荷電コロイドと対イオンとの相互作用を通して荷電コロイド間に引力が生じることから、コロイド粒子間に働く徳山有効引力を提案した。そこで、この徳山有効引力を用いたブラウン動力学シミュレーションを行い、荷電コロイド分散系の構造と動的振る舞いを調べた。局所濃度依存性を取り入れない徳山有効引力を用いたシミュレーションでは、空間に均一なコロイド気体相に加えて、空間に不均一性を生じるコロイド液滴相、コロイド固滴相が生じることがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Michio Tokuyama, Yayoi Terada, Irwin Oppenheim: "Nonlinear equilibrium density fluctuations and spatial heterogeneities near the colloidal glass transition"Physica A : Statistical Mechanics and its Applications. Vol.321. 193-206 (2003)
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[Publications] 寺田弥生, 徳山道夫: "ブラウン動力学シミュレーションによる荷電コロイド分散系の構造と動的振る舞い"第52回理論応用力学講演会 講演論文集. 2003510-2003511 (2003)