2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540353
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮下 精二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10143372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 圭司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (90312983)
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Keywords | 量子スピン系 / ナノスケール単分子磁性 / 非断熱遷移 / ESR / 量子ダイナミクス / スピンクロスオーバー / 量子拡散 / スピンパイエルス相転移 |
Research Abstract |
量子スピン系に関する新しい現象として、スピンパイエルス状態での格子の量子ゆらぎの効果をモンテカルロ法で明らかにした。また、ナノスケール単分子磁性の示す動的性質に関して、その基底状態の特徴から断熱変化が起きる機構を、V15や鉄のリング状物質で考察し明らかにした。そのエネルギー準位によって、パルス磁場など速い磁場掃引での磁化過程の特徴を予言し、対応する実験を提案した。量子ダイナミックスに特有な性質を利用した新しいタイプの状態制御法の開発や量子情報操作や量子計算のアルゴリズム等の研究も行った。また、緩和機構の期限としての非断熱遷移の役割を明らかにするため、交流磁場のもとでの複雑な系が示すエネルギー緩和現象の特徴を量子力学的な局在かと拡散の競合系として調べた。また、スピンの自由度によって熱が運ばれる可能性を明らかにした。スピン系の状態の重要な測定手段である電子スピン共鳴に関して相互作用が強い場合の吸収曲線の特徴をミクロな立場から解明する方法を開発し、格子の幾何学的な配置による特徴を明らかにした。さらに、光や温度によって誘起されるスピンクロスオーバー現象の統計力学的モデルの設定を行い、これまで多く知られている現象の理解を進め、誘起される秩序によって引き起こされる相転移の機構について研究した。また、電荷移動型錯体の相転移についても電荷移動と磁気秩序の関係を調べた。また、三次元系での秩序無秩序相転移において、競合や変数の縮退によって新しい秩序が現れることを発見し、三次元での秩序形成でのエントロピーの効果を明らかにした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] S.Miyashita, M.Nishino, K.Saito: "Quantum Dynamics and Response in Nano scale Spin Systems"Mol.Crysst.Liq.Cryst.. 376. 327-334 (2002)
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[Publications] M.Machida, K.Saito, S.Miyashita: "Frequency Dependence of Quantum Localization in a Periodically Driven System"Journal of Phys.Soc.Japan. 71. 2427-2433 (2002)
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[Publications] N.Todoroki, Y.Ueno, S.Miyashita: "Order phase and phase transitions in the three-dimensional generalized six-state clock model"Phys.Rev.B. 66. 214405-1-21405-8 (2002)
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[Publications] H.Onishi, S.Miyashita: "Quantum Narrowing Effectin a Spin-Peierls System with Quantum Lattice Fluctuation"Journal of Phys.Soc.Japan. 72. 392-398 (2003)
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[Publications] I.Chiorescu, S.Miyashita, B.Barbara: "Adiabatic Landam-Zener-Stuckelbeng transition with on without dissipation in the low-spin molecular system V15"Phys.Rev.B. 67. 02402-1-02402-4 (2003)
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[Publications] M.Nishino, S.Miyashita, K.Boukheddaden: "Effective interaction range in the spin crossover phenomenon : Wajnflasz and domain models"The Journal of Chemical Physics. 118. 4594-4597 (2003)
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[Publications] 宮下精治: "総転移 臨界現象"岩波書店. 96 (2002)