2003 Fiscal Year Annual Research Report
強相関電子系における幾何学的フラストレーションの果たす役割
Project/Area Number |
14540356
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 聡 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10263063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 浩章 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90311737)
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Keywords | 幾何学的フラストレーション / パイロクロア / 金属絶縁体転移 / 超伝導 / 量子1次元素 / 共形場理論 |
Research Abstract |
本年度は以下のテーマについて成果を得た。 ・パイロクロア型およびスピネル型酸化物における金属絶縁体転移.....前年度において研究した頂点共有四面体上のハバードモデルにおける金属絶縁体理論を、格子の歪みの効果を導入するように拡張し、現実的な系に対する応用を試みた。その結果、スピネル化合物AlV_2O_4において観測されている電荷秩序転移と整合した結果を得ることに成功した。 ・三角格子上のハバードモデルにおけるf-波超伝導の可能性.....近年、三角格子構造を有するNa_<0.35>CoO_2.1.3H_2Oにおいて発見された超伝導の発現機構を調べるため、三角格子ハバードモデルの斥力Uによる超伝導不安定性について研究を行なった。Uについての3次摂動で、Eliashberg方程式を解析し、スピン三重項のf-波超伝導が、最も高い転移温度を与えることが分かった。 ・量子1次元非可積分系における有限温度のドルーデ重み....量子1次元系の輸送特性は、系が可積分である場合に特異性を示し、全運動量が保存しない系でも輸送が弾道的になることが数年前から指摘されてきた。本研究では、この特異性が可積分系だけに固有のものではなく、系がある種の非自明な対称性を有する場合には、非可積分系においても成立することを、共形場理論を用いて示した。 ・スピン1/2-量子スピン鎖における開いた非磁性不純物によるCurie的振舞.....量子スピン鎖において非磁性不純物は開いた境界と同じ効果を与える。開いた境界付近において一様磁気帯磁率が、バルクと比べてどのように違った振舞を示すかについて、これまで十分な理解が得られてなかった。我々は、共形場理論と有限温度における密度行列繰り込み群の方法を用いて、一様磁気帯磁率が境界付近でCurie的な振舞を示すことを明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Satoshi Fujimoto: "Metal-to-Insulator Transition, Spin Gap Generation, and Charge Ordering in Geometrically Frustrated Electron Systems"Physical Review B. 67. 235102-1-235102-12 (2003)
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[Publications] Satoshi Fujimoto, Naoki Kwakami: "Drude Weight at finite temperatures for some nonintegrable quantum systems in one dimension"Physical Review Letters. 90. 197202 1-197202 4 (2003)
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[Publications] S.Fujimoto, S.Eggert: "Boundary Susceptibility in the Spin-1/2 Chain : Curie-Like Behavior without Magnetic Impurities"Physical Review Letters. 92. 037206 1-037206 4 (2004)
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[Publications] H.Ikeda, Y.Nisikawa, K.Yamada: "Possibility of f-Wave Spin-Triplet Superconductivity in the CoO_2 Superconductor : A Case Study on a 2D Triangular Lattice in the Repulsive Hubbard model"Journal of the Physical Society of Japan. 73. 17-20 (2004)