2003 Fiscal Year Annual Research Report
競合スピン系における双極子および4重極子の部分無秩序相と交代秩序相に関する研究
Project/Area Number |
14540359
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井戸垣 俊弘 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40038013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 和義 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10029548)
村岡 良紀 有明工業高等専門学校, 助教授 (60229953)
田中 彰則 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (80274512)
河江 達也 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (30253503)
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Keywords | 競合スピン系 / 双極子 / 4重極子 / 部分無秩序相 / 交代秩序相 |
Research Abstract |
本研究では、双1次-双2次交換相互作用を持つスピン系(BBモデル)や積層軸方向に競合した相互作用を持つ軸性次隣接イジング(ANNNI)モデルを対象に、相互作用のフラストレーションに起因した変調周期構造や、スピンの向きの秩序である双極子秩序(DLRO)とスピン軸の方向秩序である4重極子秩序(QLRO)について、モンテカルロ(MC)計算や近似理論による解析を行い、DLRO(QLRO)の部分無秩序相(交代秩序相)の出現機構や安定性を詳細にしらべた。 1.BBモデルの磁気相図と4重極子交代秩序相 平成14年度に非平衡緩和法を用いたMC計算を実行し、QLROの交代秩序相への転移やDLROのリエントラント現象への希釈ランダムネスの効果、スピングラス領域の臨界緩和、ユニバーサリティークラスの検証などを行った。 2.ANNNIモデルの磁気相図と部分無秩序相の確定 平成14年度には、面内相互作用の大きさが積層軸に沿って交互に異なる「相互作用交代型ANNNIモデル」の完全な磁気相図を分子場理論で計算することによって、DLROの部分無秩序相が波数1/4,1/8,3/16の各変調相で出現することを指摘し、その安定性をMC計算で確認した。平成15年度は、無秩序→部分無秩序→秩序の各転移点近傍で非平衡緩和MC計算を実行し、これらの転移のユニバーサリティークラスをしらべた。また、積層軸」に沿ってスピン量子数の大きさが異なる「混合スピン型ANNNIモデル」についても同様な計算を行い、部分無秩序相のクロスオーバー現象を初めて見出した。 3.古典XYスピン系のBBモデルにおける4重極子秩序 典型的なフラストレートシステムである積層型三角格子反強磁性体における双2次交換相互作用の効果を、主にヒストグラム法に基づくMC計算を使って、古典的XY、スピンモデルで詳細に議論した。その結果、双1次および双2次相互作用J_1,J_2の符号や、それらの大きさの比に応じて、双極子や4重極子の強磁性、反強磁性(コリニアまたは120度構造)秩序を始め、インコメンシュレートな秩序状態やカイラリティー秩序などの出現が確認され、各相転移の次数や臨界的性質を明らかにすることが出来た。特に、J_1<J_2おいて従来理論的に予想されていた、DLROを伴わないQLROの領域(OLROとDLROの分離領域)を初めて定量的に評価することに成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Zukovic et al.: "Histogram Monte Carlo Simulation of the Geometrically Frustrated XY Antiferromagnet with Biquadratic Exchange"Physical Review B. Vol.56. 1444101-1444108 (2002)
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[Publications] Y.Miyoshi, T.Idogaki: "Non-Equilibrium Relaxation Study of the ±J Iisng Model with Biquadratic Exchange Interaction"Journal of Magnetism and Magnetic Materials. Vol.248. 318-331 (2002)
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[Publications] T.Kawae et al.: "La Impurity Effect on Quadrupolar Ordering in PrPb_3"Physical Review B. Vol.65. 0124091-0124094 (2002)
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[Publications] Y.Muraoka et al.: "Partially Disordered Phase in the Three-Dimensional ANNNI model with Alternating Intralayer Interactions"Physical Review B. Vol.66. 0644271-0644276 (2002)
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[Publications] K.Tanaka, T.Idogaki: "Long Range Order in the Ground State of the Spin System with Orbital Degeneracy"Physical review B. Vol.66. 1344261-13442613 (2002)
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[Publications] M.Zukovic, T.Idogaki: "Critical Behavior of a Three-Dimensional Plane Rotator with Frustration Inducing Higher Order Interactions"Physica B. Vol.328. 377-385 (2003)