2003 Fiscal Year Annual Research Report
量子スピン系における新しいタイプの状態と臨界現象の量子モンテカルロ法による探求
Project/Area Number |
14540361
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
川島 直輝 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (30242093)
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Keywords | 量子スピン系 / モンテカルロ法 / スピングラス / ランダムネス / 臨界現象 |
Research Abstract |
量子モンテカルロ法を用いて量子スピン系において新奇な基底状態や臨界現象が実現される可能性を探索した.また,そのために新しい量子モンテカルロ法のためのアルゴリズムの開発もあわせて行った.まず,川島・原田(2003)はこれまでに知られている量子モンテカルロ法のいくつかの異なる方法を整理し,そこからいくつかの新しい提案もおこなっている.たとえば,2スピン間の相互作用がスピン演算子について双2次になっている項を含んだモデルが近年よく取り上げられるが,このモデルに関して,ループごとの自由度が通常の2値でなく,3値であるようなアルゴリズムが自然に導かれ,かつ非常に有効であることが確かめられた.これを用いて現在,議論の分かれている1次元の絶対零度における相転移の性質を研究中である.同じ論文の中で,われわれは自然なボルツマン重みを調節可能な重みに置き換えることによって,モンテカルロ法の効率化をはかる拡張アンサンブル法の量子モンテカルロシミュレーションへの応用についても議論し,あたらしい方法を提案している.昨年度,われわれは大きなスピンの問題を系統的に扱うことの出来る「粗視化アルゴリズム」を提案したが,今年度,シュマコフ・原田・川島(2003)はこの方法がボーズ粒子からなる系にも適用可能であることを見出し,実際に有効であることを自由ボーズ粒子系に適用することによって立証した.これはボーズ粒子系がスピンの大きさが無限大のスピン系におけるスピン揺らぎとみなすことができることを応用した方法である.この方法については,これをより現実的な相互作用がある場合に拡張することにも成功している.(原田・川島(2004))
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Research Products
(1 results)