2003 Fiscal Year Annual Research Report
幾何学的スピンフラストレーション系に特有な磁区成長
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14540364
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
満田 節生 東京理科大学, 理学部一部・物理学科, 助教授 (90183962)
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Keywords | スピンフラストレーション / 磁区成長 / 中性子散乱 / 帯磁率 / 長時間緩和 / イジング反強磁性体 / 三角格子 |
Research Abstract |
非平衡状態から如何にドメインが発達し平衡状態へ至るか?という広い問題に対して、部分的に縮退が解けた二等辺三角格子反強磁性体のモデル物質であるCoNb_2O_6を用いて、幾何学的スピンフラストレーション系に特有な磁区成長過程を帯磁率、中性子散乱実験を通して調べてきた。 2年度目では、これまで明らかにしてきた磁場クエンチ後の反強磁性相時間のベキ則(ξ(t)=ξ_0+Ct^n、成長指数n~0.2という、conventionalなイジング磁性体の持つ成長指数n=0.5と比べ非常に小さい値をとる)で記述される磁区成長過程の温度依存性をHMIでの中性子散乱実験(PHY-01-1128)により測定する事により温度因子C(T)を決定した。C(T)はC_0exp(-δE/k_BT)で良くフィッティングする事ができ、δE/k_B~10Kである事が示された(δEはある種のエネルギー障壁であり、この系における磁区成長過程のメカニズムを解く鍵の一つになると考えられる)。さらに、フェリ相内では、交流帯磁率測定から特定磁場(H_s~1300 Oe)における磁区成長が示唆されていたが、それを中性子散乱実験で直接検証を行った。フェリ相内での平均ドメイン長の時間変化は、三軸中性子分光器のQ分解能では磁区成長過程を直接観測するに至らなかったが、磁気散乱の線幅の磁場依存性から間接的にその存在を確認できた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Mitsuda, H.Okano, S.Kobayashi, K.Prokes: "Non-Magnetic Impurity effect on Domain Growth Kinetics in an isosceles Triangular Ising Antiferomagnet CoNb2O6"J.Magn.& Magn.Mater.. (In press). (2004)
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[Publications] N.Terada, S.Mitsuda, K.Prokes, O.Suzuki, H.Kitazawa, H.Aruga Katori: "Anomalous Magnetic Excitation on Triangular Lattice Antiferromagnet CuFeO2"J.Magn.& Magn.Mater.. (In press). (2004)
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[Publications] S.Kobayashi, H.Okano, T.Jogetsu, J.Miyamoto, S.Mitsuda: "Domain^growth kinetics in the isosceles triangular Ising antiferromagnet CoNb2O6"Physical Review B. (In press). (2004)