2002 Fiscal Year Annual Research Report
多数のキュービットをもつ量子計算機のディコヒーレンス
Project/Area Number |
14540372
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10242033)
|
Keywords | 量子計算機 / ディコヒーレンス / 量子揺らぎ |
Research Abstract |
量子計算機をとりまく環境からの擾乱による影響を論じる基礎になる理論の構築を行った。その理論の概要は次のようなものである: まず、任意の自由度N(>>1)の系の様々な量子状態を、1.クラスター性があるかどうか、2,相加的物理量の揺らぎがNのどんな冪のように振る舞うか、という2つの観点から分類した。 続いて、分類されたそれぞれのグループの状態について、古典ノイズや環境からの弱い擾乱に対する安定性を分析し、ディコヒーレンスレートが、Nの1乗よりも高い冪になるような状態をfragileな状態と呼ぶことにした。その結果、normally-fluctuating statesと名付けた状態は、どんな古典ノイズや環境からの弱い擾乱に対してもfragileにならないことが解った。一方、anomalously-fluctuating statesと名付けた状態は、ノイズのスペクトルによってはfragileになることが解った。さらに、局所測定に対する安定性、という概念を提出したそして、クラスター性がある状態は局所測定に対して安定で、クラスター性がない状態は局所測定に対して不安定であることを示した。これは、逆も言える。これから、クラスター性がない状態は局所測定を繰り返すと、クラスター性のある状態に変わってゆくことを示している。 この結果は、直ちに量子計算機に応用できるものである。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] A.Shimizu, T.Miyadera: "Stability of quantum states of finite macroscopic systems against classical noises, perturbations from environments, and local measurements"Phys.Rev.Lett.. 89・27. 270403-270407 (2002)
-
[Publications] 浮穴学尚, 清水明: "Shorのアルゴリズムに現れる異常な量子状態とその安定性"第6回量子情報技術研究会資料. 211-214 (2002)
-
[Publications] A.Shimizu, T.Miyadera, A.Ukena: "Decoherence of anomalously-fluctuating states of finite macroscopic systems"Proc.7th Int.Symp.on Foundations of Quantum Mechanics in the Light of New Technology. 279-282 (2002)