2002 Fiscal Year Annual Research Report
ボース・アインシュタイン凝縮体における非線形現象と制御
Project/Area Number |
14540373
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和達 三樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (60015831)
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Keywords | ボース・アインシュタイン凝縮 / 凝縮体の安定性 / グロス・ピタエフスキー方程式 / 凝縮体の崩壊 / 非線形現象 / 非線形シュレディンガー方程式 / 自由落下と自由膨張 / 1時限デルタ関数気体 |
Research Abstract |
ボース・アインシュタイン凝縮体における非線形現象と制御について研究を行い、以下の成果を得た。 1.調和型ポテンシャルに捕捉された引力相互作用をもつボース粒子系の動力学を考える。非線形シュレディンガー方程式(グロス・ピタエフスキー方程式)に、新しい不等式を適用して、波動方程式の崩壊に対する十分条件を得る。そして、凝縮体の初期的形状の影響を調べる。この結果は、他の手法によって得られる結果とよく一致することが示された。特に、初期状態の異方性は、凝縮体の安定性を著しく変えることがわかった。 2.斥力相互作用をもつボース粒子系が、捕捉トラップからはずされて自由膨張する動力学を考察する。ザハロフ理論を適用して,凝縮体のからはずされて自由膨張する動力学を考察する。ザハロフ理論を適用して、凝縮体の拡がりを表わす量の時間発展を解析する。凝縮体が調和トラップに捕捉された場合を初期条件とすると、自由膨張の特徴的時間スケールはトラップ振動数の逆数程度であり、相互作用の強さに依らない。この結果は、JILAやMITでの実験における凝縮体変形を説明している。 3.凝縮体の模型として、1次元デルタ関数気体を考える。この問題は古い歴史を持ち、擬運動量分布は温度ゼロにおいて、積分方程式(リーブ・リンガー積分方程式)で記述されることが知られている。しかし、この積分方程式を解く手法は確立されていない。特に、弱い相互作用の場合は極めて難しい。新たに、ベキ級数展開によって解く手法を提案した。このようにして得られる分布は、正しい熱力学量を与える。一般的数学構造は複雑であり、すべてが理解できたわけではないが、準粒子エネルギーに対する積分方程式(ヤン・ヤン積分方程式)も同様にして解くことができる。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] M.Wadati: "One-dimensional hard-core boson gas"Chaos, Solitons & Fractals. 14. 23-28 (2002)
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[Publications] M.Wadati: "Solutions of the Lieb-Liniger integral equation"Journal of Physical Society of Japan. 71. 2657-2662 (2002)
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[Publications] H.Morise: "Dynamics of attractive Bose-Einstein condensates trapped in harmonic potentials"Journal of Low Temperature Physics. 126. 449-452 (2002)
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[Publications] T.Tsurumi: "Free expansion of a Bose-Einstein condensate"Journal of Physical Society of Japan. 71. 1044-1051 (2002)
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[Publications] G.Kato: "Bethe ansatz cluster expansion method for a one-dimensional δ-function Bose gas"Chaos, Solitons & Fractals. 15. 849-858 (2003)
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[Publications] G.Kato: "Direct calculation of thermodynamic quantities for the Heisenberg model"Journal of Mathematical Physics. 43. 5060-5078 (2002)
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[Publications] A.Nishino: "Symmetrization of nonsymmetric Macdonald polynomials and Macdonal's Inner product identities"Sudies in Applied Mathematics. 108. 399-425 (2002)
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[Publications] M.Wadati: "Nonlinearity and Disorder : Theory and Applications"Kluwer Academic Publisher. 11 (2001)
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[Publications] T.Tsurumi: "Integrable quantum field theories and their applications"World Scientific Publishing. 29 (2001)