2005 Fiscal Year Annual Research Report
ボース・アインシュタイン凝縮体における非線形現象と制御
Project/Area Number |
14540373
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和達 三樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (60015831)
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Keywords | ボース・アインシュタイン凝縮 / ボース・アインシュタイン凝縮体 / 物質波ソリトン / スピノル型凝縮体 / 多成分グロス・ピタエフスキー方程式 / 行列型非線形シュレディンガー方程式 / 積分方程式 / 量子可積分系 |
Research Abstract |
極低温中性ボース原子系におけるボース・アインシュタイン凝縮体の静的及び動的性質を明らかにするために、次のような研究を行なった。 1.量子デルタ関数気体の厳密解析 1次元量子可積分粒子系において、凝運動量分布はLieb-Liniger(LL)積分方程式、励起エネルギー・スペクトルはYang-Yang(YY)積分方程式によって記述される。これらの積分方程式は通常数値的に解かれ、解析的解法の研究は非常に少ない。特に、結合定数が小さいときの解法は難問題として知られている。ベキ級数による解法を、スピン1/2のフェルミ粒子系に対して適用した。スピン上向きと下向きの2種類のフェルミ粒子が、引力的デルタ関数ポテンシャルで相互作用する系である。強結合領域において、スピン対状態の存在が導出された。これは、極低温気体でのBCS状態やBEC状態を示唆している。 2.F=1スピノール型凝縮体における物質波伝播 光トラップの成功により、内部自由度をもつ凝縮体が実現している。これまでの研究により、F=1の1次元的凝縮体において、原子間ポテンシャルとスピン交換相互作用が同じ大きさの時、3成分グロス・ピタエフスキー(GP)方程式が可積分であることを知っている。逆散乱法を用いて、N-ソリトン解が得られる。引力系では、明るいソリトン状態が存在し、極性ソリトンと強磁性ソリトンに分類される。斥力系に対しても同様な解析を行うことができる(論文投稿中)。一方、2つの結合定数が一般的な場合に、物質波伝播の解析を行なった。平面波解の存在条件から、極性ソリトンと強磁性ソリトンの分類が妥当であることが示された。 本年度は本研究計画の最終年度であり、発展課題として非可換空間でのソリトン方程式の構成、1次元確率過程での輸送現象、磁場中スピンの量子絡み合いと幾何学的位相、などの研究も行なった。
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