2003 Fiscal Year Annual Research Report
位置追跡浮子を用いた海洋表層の粒子分散過程に関する研究
Project/Area Number |
14540403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
道田 豊 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (20323628)
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Keywords | 海洋表層 / 拡散 / 漂流ブイ / GPS / 海水交換 / 漂流予測 / 拡散係数 |
Research Abstract |
海洋表層の物質あるいは粒子状物体の分散現象について、高精度でその位置を追跡することができる漂流浮子を放流する実験を行い、浮子運動の記述により粒子群の分散を支配するパラメータとしての拡散係数の再評価及び、そのパラメータを与える各粒子の運動の実態を解明することが本研究の目的である。平成14年度の研究成果を踏まえて改良を加えた漂流ブイを用い、2003年7月(夏季)と2003年12月(冬季)に岩手県大槌湾で実験を行った。昨年度の実験結果も併せて、計4回の大槌湾にけるブイの運動を解析した結果、見掛けの拡散係数は場の収束・発散に大きく依存することが確認され、そのことに起因して、数十分程度の短周期の変動が卓越していた。場の収束・発散の効果を除いた真の拡散係数は、成層状態及び気象条件の異なる夏季と冬季で4倍ほど異なり、風が強く混合も強い冬季に拡散系数が大きくなるという定性的には妥当な結果となった。しかし、ごく表面を対象に行われた過去の評価結果に比べると1オーダーほど小さな値が得られており、海洋表層の拡散係数は、鉛直方向に大きく変化していることが示唆された。また、浮子群の重心の移動は、10cm/s程度で、数時間という実験時間内では各実験においてほぼ一定の値を示したのに対して、個々の浮子の運動は、海洋表層の微細な変動を反映して収束・発散を伴う複雑な動きを見せた。このことは、マクロには単純な拡散方程式に従う運動を示す海上の粒子であっても、その漂流経路予測には場の収束・発散等の効果を加味する必要があることを示唆するものである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 道田 豊, 寄高博行: "漂流ブイによる北太平洋亜寒帯の吹送流の評価"月刊海洋. 号外32. 21-25 (2003)
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[Publications] 鈴木 亨, 小熊幸子, 永田 豊, 道田 豊, 寄高博行: "ADCP観測データで見る北太平洋亜寒帯西部における表層循環の季節変動"月刊海洋. 号外32. 26-31 (2003)
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[Publications] Michida, Y., H.Yoritaka: "Seasonal change of the surface circulation in the Alaskan gyre observed with surface drifters"Proceedings of 18^<th> International Symposium on Okhotsk Sea and Sea Ice. 90-95 (2003)
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[Publications] Mchida, Y., H.Aoyagi, M.Inada, H.Otobe: "Development of GPS tracked drifters and application for observation of coastal circulation"Proceedings 1^<st> Joint Seminar on Coastal Oceanography, JSPS. (In press). (2004)
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[Publications] 道田 豊(章執筆分担): "海洋音響の基礎と応用"海洋音響学会(印刷中). (2004)