2003 Fiscal Year Annual Research Report
極夜ジェット振動による北極振動形成メカニズム解明に関する研究
Project/Area Number |
14540412
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Research Institution | Meteorological Research Institute, Japan Meteorological Agency (JMA) |
Principal Investigator |
黒田 友二 気象庁気象研究所, 気候研究部, 主任研究官 (80343888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 清孝 気象庁気象研究所, 環境・応用気象研究部, 室長 (50354494)
小寺 邦彦 気象庁気象研究所, 気候研究部, 主任研究官 (70343887)
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Keywords | 極夜ジェット振動 / 北極振動 / 波平均流相互作用 / 子午面循環 / 北大西洋振動 / 大気大循環モデル |
Research Abstract |
本年の「極夜ジェット振動による北極振動の形成メカニズム解明に関する研究」では、昨年度に引き続きアメリカ気候予測センター(NCEP)作成の再解析データ、衛星観測データの観測データ、及び昨年度実行した冬季固定長期積分の解析を行なった。解析は、主に極夜ジェット振動(PJO)の時間進行に伴う波強制とそれに伴う子午面循環、地表面気圧変化がどのように互いに関連しあっているかを明らかにする観点で行った。この際、波加速に伴う子午面循環と地表面気圧変化を定量的に診断する必要があるため、そのためのツールとしてオイラー平均準地衡風モデルを新たに開発して解析に用いた。モデル長期積分や観測データの解析の結果、PJOの時間進行にともなう北極振動(AO)の形成は波強制による子午面循環の効果であることが定量的に示された。また、このとき地表面気圧の増大に伴う二次的な東西風の形成は地表面摩擦を介して波強制による地表面気圧変化を止める働きをして両者のバランスから実際の地表面気圧変化が生じる事が分かった。また、PJOが形成される時には成層圏に波数1の波による子午面方向に双極子構造をした大きな熱強制が形成されており、これによって強制される子午面循環がAO形成時に全体の約半分もの効果を地表面にもたらす事がわかった。また、残りの約半分は通常のAO形成時と同様に上部対流圏に形成された運動量強制から来ていた。 以上の研究成果を発表するために日本気象学会春季大会(つくば)、秋季大会(仙台)、国際測地学地球物理学連合総会(札幌)、アメリカ地球物理連合(AGU)秋季大会(サンフランシスコ)等に参加しこれらの研究成果の発表を行った。また、論文としては、北大西洋振動と北極振動の違いに関する論文がAGUから出版され、また極夜ジェット振動が北極振動を形成するシナリオに関する観測解析に関する論文がAGUに受理された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kodera K., Y.Kuroda: "Regional and hemispheric circulation patterns in the northern Hemisphere winter, or the NAO and the AO"Geophysical Research Letters. Vol.30. 10.1029/2003GL017290 (2003)
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[Publications] Kuroda Y., K.Kodera: "Role of the Polar-night Jet Oscillation on the formation of the Arctic Oscillation in the northern hemisphere winter"Journal of the Geophysical Research. Vol.109(in press). 10.1029/2003JD004123 (2004)