2005 Fiscal Year Annual Research Report
磁気圏高ベータプラズマ中における磁気流体不安定の理論とモデリングによる研究
Project/Area Number |
14540414
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三浦 彰 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20126171)
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Keywords | 磁気圏 / 磁気流体不安定 / 高ベータプラズマ / エネルギー原理 / 交換型不安定 / バルーニング不安定 / 電離層 / サブストームオンセット |
Research Abstract |
磁気圏プラズマの磁気流体不安定性を調べるための磁気圏のエネルギー原理を構築した。磁気圏プラズマは2次元あるいは3次元の一般的な静的平衡状態にあるとする。2次元、3次元平衡のいずれの場合にも対象とするプラズマは磁気圏での完全導体の壁と理想的な電離層の境界によって囲まれていると仮定する。2次元の平衡の場合には更に朝夕方向に周期的な境界によって囲まれ、朝夕方向の0次の磁場成分はないとし、朝夕方向の並行対称性を持つと仮定する。磁気流体の力の演算子が自己共役になり、磁気流体のポテンシャルエネルギーが磁気流体の流体エネルギーに等しくなるように理想的な電離層の境界条件を最低次の近似で求めた。プラズマがすべて完全導体の壁で囲まれている場合の通常のエネルギー原理と異なり、磁気圏の場合には電離層を磁力線が貫いていることが大きな違いである。更に、電離層の境界は自由に動ける境界であり、固定境界条件のみが許される電離層の境界条件ではない。これらの条件を満たす理想電離層の境界条件は3つあり、絶縁性境界条件、導電性境界条件、固定境界条件のいずれかであることがわかった。0次の沿磁力線電流がない場合には、絶縁性、導電性、固定境界条件はおのおの交換型モード、非圧縮性バルーニングモード、圧縮性バルーニングモードを与える。これら3つの圧力駆動不安定モードの異なる特性を明らかにした。この研究で得られた磁気圏のエネルギー原理を用いて、過去に提出されている交換型不安定の安定性条件を比較、吟味し、異なる磁気圏の平衡モデルに対するバルーニング不安定の線型数値解析の結果を統一的に議論できるようになった。3つの圧力駆動不安定のモードの内で非圧縮性のバルーニングモードがもっともサブストームのオンセットの機構として考えやすいことが示された。
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