2002 Fiscal Year Annual Research Report
K-T境界における恐竜卵殻化石の異常微細組織と化学組成
Project/Area Number |
14540424
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神谷 英利 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00115825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 廣繁 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00324608)
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Keywords | 恐竜 / 爬虫類 / 微細構造 / 硬組織 / 卵殻 / 歯化石 / エナメル質 / 生鉱物 |
Research Abstract |
中国各地およびそれ以外の地域から産出した中生代末期の恐竜卵殻化石について、その形態的特徴や産状の特徴に基づいて、比較検討を行いさらにいくつかのレベルにおける内部組織の観察を行った。中生代末期の白亜紀上部の地層から産出する卵殻化石には多様な形態が認められ、それぞれの形態に基づいて分類がなされている。それらの形態的特徴と内部組織との関連性について、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡などを用いて、内部の組織学的な特徴を詳細に観察したが、外部の形態的な特徴の違いが内部構造においても現れていることが明らかとなった。 鉱物組成の検討の結果、恐竜卵殻化石は主要な鳥類の卵殻と同様、方解石(カルサイト)から成り、化石においても保存のよい場合には初生的な鉱物組成とそれから成る卵殻の初生的組織が残されていることが多い。ただし、部分的には「再結晶作用」により、二次的な粗粒のカルサイトが生成されていることもある。 卵殻の構造は基本的にマミラと呼ばれるカルサイトの結晶集合体が組み合わさってできている単位から構成される。その配列の仕方や大きさなどは、形態的な際に応じて異なっている。また、中には卵殻内に空洞的な部分がある種類も見られる。このようにいろいろな多様性が認められつつある。 また、中国のものとの比較のため、日本産試料についても検討すべく、最近多くの恐竜等の化石が発見されている石川県の手取層群について化石の調査を進め、石川県白峰村から新たに多くの卵殻化石を見いだした。これらについても今後さらに検討を加える予定である。また、比較研究のため卵殻に限らず化石の歯についても微細構造の検討を進めており、今年度は白亜紀の哺乳類型爬虫類であるトリチロドンについて、その臼歯と切歯のエナメル質の微細構造、さらにより新しい時代の哺乳類化石(おもに長鼻類:ゾウのグループ)の臼歯エナメル質について検討を加えた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kamiya, H., Kato, K.: "Comparison of enamel texture of fossil elephant molars from Japan and its neighbors"Pacific Neogene Paleoenvironments and their Evolution. 8. 121-125 (2003)
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[Publications] Kusuhashi, N., Matsuoka, H., Kamiya, H., Setoguchi, T: "Stratigraphy of the late Mesozoic Tetori Group in the Hakusan Region, central Japan : an overview"Memoirs of the Faculty of Science, Kyoto University, Series of Geology and Mineralogy, 59(1), 9-31. 59(1). 9-31 (2002)
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[Publications] Matsuoka, H., Kusuhashi, N., Takada, T., Setoguchi.T.: "A clue tothe Neocomian vertebrate fauna : initial results from the Kuwajima "Kaseki-kabe" (Tetori Group),central Japan"Memoirs of the Faculty of Science, Kyoto University, Series of Geology and Mineralogy. 59(1). 33-45 (2002)
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[Publications] Komatsu, T., Chinzei, K., Zakhera M.S., Matsuoka: "Jurassicsoft-bottom oyster Crassostrea from Japan"Palaeontology. 45(6). 1037-1048 (2002)
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[Publications] Barrett, P.M., Hasegawa, Y., Manabe, M., Matsuoka, H.: "Souropod teeth from the Kuwajima Formation (Lower Cretaceous) of Ishikawa Prefecture, Japan"Palaeontology. 45(6). 1197-1217 (2002)