2003 Fiscal Year Annual Research Report
シルル紀島弧陸棚型生物礁の構築構造と古生物群集構成
Project/Area Number |
14540435
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
川村 寿郎 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (60186145)
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Keywords | シルル紀 / デボン紀 / 古生代 / 島棚 / 古生物礁 / 黒瀬川帯 / 南部北上帯 / 石灰質マイクローブ類 |
Research Abstract |
シルル紀の島弧陸棚生物礁を代表する日本列島のシルル系炭酸塩岩の岩相層序と含有化石状況を野外調査して、採取試料をもとにした内部構造と古生物相の検討を行い、島弧陸棚(島棚)としての堆積環境、古生物群集の構成、生物礁の枠組み構造などの復元を行った。また、全世界のシルル紀生物礁の網羅し検討対象と比較した。その結果、以下の点が明らかとなった。 1.南部北上帯シルル紀炭酸塩岩は、不安定な島弧陸棚で泥質〜砂質浅海底での堆積、礁マウンドの形成、その後の崩壊、沈水と沖合泥底への埋積、という一連の過程を経て形成されたと推定される。 2.黒瀬川帯シルル紀炭酸塩岩は、陸棚泥低での生物マウンド構築とその後の崩壊過程で形成されと推定される。 3.南部北上帯と黒瀬川帯の炭酸塩岩は、年代と含有化石内容に違いはあるものの、両者の形成環境と形成過程は類似しており、同類の島弧環境で形成されたと推定される。 4.検討した南部北上帯と黒瀬川帯のシルル紀炭酸塩岩は、古地理の上で当時の南半球パンタラッサ海縁辺にあり、大洋西部での海洋循環の影響を強く受けていたと推定される。 5.検討したシルル紀炭酸塩岩に赤色〜黄色化や角礫化が認められ、これは古カルスト化作用を強く示唆する。その上位の沈水、崩壊、泥底埋積の過程は、当時の世界的海水準上昇を反映している。 6.復元されたシルル紀生物礁マウンドは、大型骨格動物類ではなく、紅藻類と微生物類がその主体を担っている。 7.島弧陸棚型の生物礁の内部構造は、大陸縁型のそれらに較べると、一般に微生物類の被覆・連結や空隙充填による密度が高く、より堅固な枠組み構造を有していた可能性が高い。 8.シルル紀炭酸塩岩の微相画像を収集し、CDに収録した。これは日本最古期の炭酸塩岩や化石内容を示す資料として、今後の研究材料のみならず教育資料としてもアーカイブ的価値がある。
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