2002 Fiscal Year Annual Research Report
石灰質ナンノ化石からみた本邦新生代後期の古海洋と石油根源岩分布予測
Project/Area Number |
14540436
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 時幸 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (60241668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀尾 浩司 千葉大学, 海洋バイオシステム研究センター, 助手 (00312968)
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Keywords | 石灰質ナンノ化石 / 古海岸 / 石油根源岩 / 新生代 / 寒冷種 / 古生物地理 / 生物生産量 / 湧昇流 |
Research Abstract |
中新統〜鮮新統の石灰質ナンノ化石解析用試料のうち,秋田大学に保管しているもの,および日本各地から採取した岩石試料について,プレパラート処理が終了した.また,不足している新潟周辺の地表および石油探鉱会社が所有する坑井試料を追加収集し,分析用試料として追加処理を行った.処理試料数は約5000試料である.平成14年度は,処理し作成したプレパラートの内,石灰質ナンノ化石群集組成が現世のものに近い国際深海掘削計画(ODP)および地表の鮮新統試料について検鏡を開始した. 鮮新統試料は主に赤道太平洋〜北太平洋,日本海,および本邦陸域の鮮新統から採取したものである.研究では,最初に詳細な地質年代の決定を行い,それに基づいて3.8Ma〜2.7Ma,2.7Ma〜2.3Ma,2.3Ma〜1.97Ma,および第四紀に地質年代を区分,それぞれの年代ごとの石灰質ナンノ化石群集が時代とともにどのように地理分布変化をするかについて解析した.すでに研究代表者が指摘しているごとく,鮮新世-更新世石灰質ナンノ化石群集は,北太平洋と低-中緯度太平洋海域とでは際立った群集の対立が見られ,日本海側地域の群集は北太平洋のものに含まれる.このことに注目して寒冷種Coccolithus pelagicusの相対頻度の解析を行った結果,2.7Maを境に中緯度以北の縁海部で同種の相対頻度が80%近くを占める変化を認めた.2.7Maは北極海域での急激な氷床拡大があったことで注目されているが,今回明らかになったこれらの事実は,急激な環境変動が特に縁海域に強い影響を与えた可能性を示唆している.研究では,さらに詳細な解析に基づいて鮮新世古海洋変動をモデル化し,その結果に基づいて石油根源岩分布の解明で重要な中新統の群集組成について検討する予定でいる.
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