2003 Fiscal Year Annual Research Report
石灰質ナンノ化石からみた本邦新生代後期の古海洋と石油根源岩分布予測
Project/Area Number |
14540436
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 時幸 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (60241668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀尾 浩司 千葉大学, 海洋バイオシステムセンター, 助手 (00312968)
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Keywords | 石灰質ナンノ化石 / 石油地質 / 石油根源岩 / 古海洋環境 / 新生代 / 中新世 / 湧昇流 |
Research Abstract |
本研究では最初に西大西洋〜インド洋の深海底コアに含まれる石灰質ナンノ化石を調査し,中新世中期の西黒沢期後期に太平洋とインド洋の流通が遮断されたことを明らかにした.この事実は,それを境にした海洋構造の変化を示唆している.一方,本邦の上部新生界の石灰質ナンノ化石群集調査結果は,新潟地域の基本構造,および第四系の分布から推定した秋田地域の基本構造いずれも,NW-SEの横ずれを伴いながらNE-SWのトレンドをもつ堆積盆地であることを示す.このことは,中新世における日本海沿岸域の基本構造は,沿岸部にクサビ状構造があったことを示し,その西側で湧昇流が発生していたことが示唆される.特に寒流が北から流入した場合,さらにコリオリの力が加わって大規模な湧昇流が発生していたことが推定される.一方,有機物の保存を考えた場合,中新世の日本海はシルで境されたシルドベーズンであることから,より深い海域ほど溶存酸素量が小さく,有機物は分解されずに保存される.秋田地域の東西を比較すると,沿岸沿い油田系列の泥岩には有機物の保存を示すラミナが発達し,構造的に高い位置にあった出羽丘陵ではラミナは全く見られない. 以上のことから本邦の石油根源岩分布域を推定すると次のようになる.中新世の沿岸部にクサビ状地形があり,さらにコリオリの力が加わって大規模な湧昇流が発生していたことを示唆する海域で,かつ有機物が分解されずに保存される深い海域が最も石油根源岩分布に適している.これらに対応する地域として,秋田市から本荘市にかけての北由利衝状断層群沿い西側地域と新潟県長岡地域およびその西方,そして北蒲原地域などであり,秋田県中央部の出羽丘陵地帯などは石油根源岩の分布が期待できない.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sato, T., Yuguchi, S., Takayama, T., Kameo, K.: "Drastic change of the geographical distribution of the cold water nannofossils Coccolithus pelagicus Schiller during the late Pliocene"Marine Micropaleontology. (in press).
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[Publications] 佐藤時幸, 中川洋, 小松原純子, 松本良, 井龍康文, 松田博貴他: "石灰質に化石層序からみた沖縄本島南部,知念層の地質年代"地質学雑誌. 110・1. 38-50 (2004)
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[Publications] 佐藤時幸, 樋口武志, 石井崇暁, 湯口志穂, 天野和孝, 亀尾浩司: "秋田県北部に分布する上部鮮新統〜最下部更新統の石灰質ナンノ化石層序"地質学雑誌. 109・5. 280-292 (2003)
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[Publications] 佐藤時幸, 石井崇暁, 渡部専一, 佐藤充, 伊藤孝和, 安井典子: "秋田県岩城町沿岸部における「砂丘砂」/シルト岩層の分布様式-砂岩層は砂丘砂か?-"日本応用地質学会平成15年度研究発表会講演論文集. 411-414 (2003)
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[Publications] Sato, T., Saito, T., Yuguchi, S., Nakagawa, H., et al.: "Late Pliocene calcareous nannofossils paleobiogeography of the Pacific Ocean"Ewvista Mexicana de Ciencias Geologicas. 19÷3. 175-189 (2002)