2004 Fiscal Year Annual Research Report
中国の化石記録を中心としたアマミノクロウサギ系列の進化学的研究
Project/Area Number |
14540441
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Research Institution | National Science Museum |
Principal Investigator |
冨田 幸光 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (00150029)
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Keywords | アマミノクロウサギ / Pliopentalagus / Aztranolagus / 中国 / 北アメリカ / 下顎頬歯 / 系統進化 / 大陸間移動 |
Research Abstract |
本研究全体では,(1)アマミノクロウサギの歯列および頭骨,骨格についての詳しい記載を世界で初めて行い,(2)中国で発見された時代の異なる大量のPliopentalagusの化石を中心に,その他の化石及び(1)のデータを加えて,ウサギ亜科におけるPliopentalagus-アマミノクロウサギ系列の形態的,時間的進化を高い精度で解析し,(3)あわせて,現在進行しつつある分子生物学的な研究成果とつきあわせて互いの分野の成果を検証すること,さらに(4)これまで系統上の関係が疑問視されていた北アメリカ産のAztranolagusとPliopentalagusの系統上の関係を明らかにすることを目的とする.このうち16年度は(1)の一部(主に体骨格)と,ひきつづき(2)の一部,および全体の取りまとめを目的とした. これらのうち,(2)に関しては,中国産Pliopentalagusに3種を区別し,最古の種について海外共同研究者の金氏が新種記載の論文を公表したほか,残る2種について冨田が原稿を投稿した.(4)に関しては,これまで気付かれていなかった下顎臼歯に見られる特徴などから,AztranolagusがPliopentalagusの原始的な種の系統であることを証明する内容で,アメリカの学会で発表した.これは,上述の3種の新種論文のあとを受けて,投稿原稿を執筆中である.(1)の体骨格に関する研究成果は公表するに至らなかったが,上述の(4)のAztranolagusに見られる特徴が,アフリカのアカウサギにも見られることを大英自然史博物館の標本で確認し,Pliopentalagusを祖先とする系統のダイナミックな適応放散という次の研究への重要な足がかりを得た.(3)の分子生物学的研究との比較では予想外の結果が出てきたが,アフリカの属種を含めることにより,より広範囲に比較ができ,次の研究が期待される.
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Research Products
(2 results)