2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540452
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
前川 寛和 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (50173696)
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Keywords | 蛇紋岩 / かんらん岩 / 高圧変成帯 / トレモラ閃石 / 交代作用 / 泥質片岩 / マリアナ / 蛇紋岩海山 |
Research Abstract |
近年、伊豆-小笠原、マリアナ前弧域では、沈み込むスラブから供給される水により、15-30kmの深さでマントルウェッジを占めるカンラン岩の大規模な蛇紋岩化が発生していることが明らかにされてきた。海溝軸に沿って発達する巨大な蛇紋岩海山群は、重力的に不安定な低密度の蛇紋岩が正断層に沿って上昇し形成されたと考えられている。ODP第125次航海において、蛇紋岩海山の一つであるコニカル海山のから回収された変成岩片は、地殻物質と水との相互作用に関する重要な情報を与えてくれる。掘削孔779Bから回収された唯一の変成岩である雲母と緑泥石からなる岩片01R-06,19-22)は、超塩基性の組成をもつが、ZrやThなどの不適合元素に富み、NiやCrなどの適合元素に乏しい。同様の岩石が、三波川変成帯の蛇紋岩と泥質片岩の境界部に発達する反応帯に認められる。すなわち、反応帯は蛇紋岩側から、滑石帯→トレモラ閃石帯→緑泥石帯→泥質片岩と変化し、緑泥石帯に同じ組み合わせが認められる。さらに、昨年2月に行われたODP第195次航海では、南チャモロ海山からトレモラ閃石岩が回収された。このトレモラ閃石岩はトレモラ閃石帯の鉱物組み合わせに一致する。これらの岩片は、マントルウェッジを占めるカンラン岩と沈み込む海洋地殻との境界部で交代作用により形成された可能性がきわめて高いことが明かとなった。すなわち、三波川変成帯の蛇紋岩近傍に発達する泥質岩中のトレモラ閃石岩、雲母-緑泥石岩は、沈み込むスラブ直上の珪質堆積物と上盤のカンラン岩との交代作用で形成されたと考えられ、プレート境界部の現象を理解する上で重要であることが明かとなった。
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Research Products
(1 results)