2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540456
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北島 富美雄 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (40274427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 智樹 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (20260721)
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Keywords | 炭素質隕石 / 隕石母天体 / XAFS分光法 |
Research Abstract |
平成14年度は、熱分解GCと共に本研究で用いる主な分析手法であるX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルによる分析に重点をおき、まず、試料調製法および測定条件の検討を行い標準的な方法を確立した。さらに、その結果を踏まえて、先に我々が熱分解GC法を用いて、熱変成度を評価した11種のサンプルおよび、さらに1種のCMコンドライトの分析を行った。XAFS分光法による分析では、含硫黄炭素質物質に着目した。これは、これらの物質は、熱分解GC法による分析では、熱分解時に二次的反応によって生成する含硫黄炭素質物質が顕著であり、そのため、隕石内部に元々どのような形態で存在するのか解釈が難しいためである。その結果、隕石母天体上での変質・変成度を評価するうえで有用と考えられる以下のような新しい知見を得た(測定は高エネルギー加速器研究機構において行った)。 ・熱変成度の小さいCMコンドライトには、2475eV付近の有機態硫黄の吸収が存在する。水質変質度の大きいCMコンドライトでもこの吸収は存在する。 ・熱変成度の大きいCMコンドライトでは、上記の有機態硫黄の吸収はわずかしか存在しない。 ・CMコンドライトではこの他に硫酸塩の存在を示す比較的大きな吸収が認められる。この物質は、隕石が地球に到達してから、地表での風化によって形成されたものである可能性もあるが、その場合、風化の程度を見積もる指標として利用できる可能性がある。 ・CVコンドライト(Allende隕石)では、上記の有機態硫黄の吸収も硫酸塩の吸収も存在せず、CMコンドライトとは、全体に大きく異なるスペクトルを示す。 上記の特徴は、CMとCVコンドライトの区別や、CMコンドライト母天体における変質・変成の到達度を示す指標として有用であると考えられる。これらの成果は、国際隕石学会において発表する予定であり、また、論文として、現在投稿準備中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kitajima et al.: "Carbon K-edge NEXAFS study of carbonaceous matter in the Allende (CV3) carbonaceous chondrite"KEK Photon Factory Activity Report, Part B, Users' Report. 35 (2003)
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[Publications] 北島富美雄ほか: "X線吸収微細構造(XAFS)スペクトルの有機惑星科学への応用"第20回有機地球化学シンポジウム講演要旨集. 1 (2002)